僕はパパを殺すことに決めた―奈良エリート少年自宅放火事件の真実

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062139175
  • NDC分類 368.7
  • Cコード C0095

出版社内容情報

IQ136の天才少年はなぜ、自宅に火をつけたのか――。
2006年6月20日、奈良県で発生した事件は日本中を震撼させた。全国でも屈指の
進学校・私立東大寺学園高校に通う16歳少年が自宅に火をつけ逃走、焼け跡からは
少年の継母と異母弟妹の3人が遺体となって発見された。事件後、少年は中等少年院
に送られたが、事件の真相は少年法の厚いベールに包まれていまだに明らかになっていない。
著者の草薙厚子氏は、独自に入手した3000枚の捜査資料をもとに、少年と家族の実態に迫る。
警察が作成した供述調書には、少年の振り絞るような肉声が残されていた。

僕はこれまでパパから受けた嫌なことを思い出しました。パパの厳しい監視の下で勉強させられ、
怒鳴られたり殴られたり蹴られたり、本をぶつけられたりお茶をかけられたりしたことを。
なんでパパからこんな暴力を受けなければならないんや。一生懸命勉強してるやないか。
何か方法を考えてパパを殺そう。パパを殺して僕も家出しよう。自分の人生をやり直そう――。
僕はそう思うようになりました。(「第一章 計画/殺害カレンダー」より)

少年は4歳の時から、医師である父親にマンツーマンの勉強指導を受けていた。
指導はやがて鉄拳制裁とセットになり、少年は十年以上にわたって虐待に近い暴力を受け続けた。
少年はついに、父親殺害を決意する。中間テストの英語の点数が平均点に20点足りない――。
直接の引き金となったのは、ただそれだけのことだった。そして実際に犠牲になったのは、
憎んでいた父親ではなく、罪のない継母と弟妹だった。
本書には、少年が父親を殺そうと決意してから家に火をつけるまで、みずからの心の動きを赤裸々に
記した直筆の「殺害カレンダー」が掲載されている。

父親は少年が医師となることを強く望んでいた。医師となるためには良い大学に行かなければならない。
そのためには勉強を強要するのもやむをえない――。
そうしたひとりよがりの愛情が、いつしか少年を追い詰めていた。
今回の事件は、「特殊な家庭の特異な出来事」と言えるのか。過熱する受験戦争の中、
わが子を「所有物」だと思っているすべての親は、この父親の予備軍かも

序章 逮捕/焼け落ちた絆
第一章 計画/殺害カレンダー
第二章 離婚/学歴コンプレックス
第三章 神童/飛び級と算数オリンピック
第四章 家出/継母が打ち明けた苦悩
第五章 破綻/カンニング
第六章 決行/6月20日、保護者会当日
第七章 逃亡/ひたすら北へ
第八章 葛藤/娘を殺した「孫」との面会
第九章 鑑定/少年が抱えていた「障害」
終章 慕情/裁判所で流した涙


草薙 厚子[クサナギ アツコ]
著・文・その他

内容説明

英語1の点数が20点足りない。ただそれだけの理由だった。2週間後の保護者会までに、すべてを消し去らなければ―。3000枚の捜査資料に綴られた哀しき少年の肉声を公開!少年法のタブーを破る衝撃ノンフィクション。過熱する受験戦争へ警告の書。

目次

序章 逮捕/焼け落ちた絆
第1章 計画/殺害カレンダー
第2章 離婚/学歴コンプレックス
第3章 神童/飛び級と算数オリンピック
第4章 家出/継母が打ち明けた苦悩
第5章 破綻/カンニング
第6章 決行/6月20日、保護者会当日
第7章 逃亡/ひたすら北へ
第8章 葛藤/娘を殺した「孫」との面会
第9章 鑑定/少年が抱えていた「障害」
終章 慕情/裁判所で流した涙

著者等紹介

草薙厚子[クサナギアツコ]
元法務省東京少年鑑別所法務教官。地方局アナウンサーを経て、米国の通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門のアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリージャーナリストに。少年事件、教育問題を中心に週刊誌、月刊誌に多くの記事を発表している。講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パフちゃん@かのん変更

38
父親のやり方は歪んでいてとんでもないし、これがこの事件の一番の原因であると言いたいが、父親は歪んでいてもこれを愛情と思って取り組んでいたのだろう。父親も自分の母親から同じように勉強を強要され、時に暴力も振るわれていた。医師の一族に生まれ、息子を医者にして当然という環境の中で、父親も苦しかったのかもしれない。息子がそれまでたいした反抗もなく従っていたのはやはり広汎性発達障害によるものが大きいと思われる。2012/09/14

銀河

36
事件が起きてすぐのマスコミ報道によって間違った情報を信じていた私。亡くなった継母に対して、真実に近い姿を知ることができてよかった。あの父親が生きている限り、いつかは起きていた事件であったとは思う、そのぐらい父親の行いは最低だ。自分の気持ちを表現することが不得意だった少年、彼の流した涙を忘れられない。そして継母のご両親を尊敬する。我が家の年のわりに言動が幼い長男を思うと、あちこちこの少年と重なる。暴力こそないが顔を合わせれば成績のことしか言わない旦那に大至急読むように勧めよう。2012/10/07

まあちゃん

32
広汎性発達障害の少年、父親に激しい暴力を受けながら厳しい監視のもとに幼い頃から勉強をしてきた。そして次に嘘をついたら殺すという言葉を間に受け、嘘のテストの点数を父親に報告していたために、それがばれる保護者会の当日の早朝、家を燃やした。うちの発達障害の息子も育てにくかった。危うい時期も幾つかあった。夫が息子を追い詰めそうになった時わたしはかばった。だから息子は言うことを聞かないんだと彼は言ったけど、理解してないのに寝ないで反省させるとか、意味ないし体罰じゃん。あほや。事件の少年の辛さがかわいそうで仕方がない2015/10/15

kanki

24
育てられ方か。暴力のしつけはダメだし、子どもの気持ちを想像しないところも。2022/11/23

ちくわ

22
父親の暴力の恐怖から逃れる為に父親を殺す事に決めた、という逃げ場のない心情も分かるが被害者の事を思うと複雑です…賛否あると思いますが少年には罪を背負いながら真っ当な人生を歩んでもらいたい。2018/06/19

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