小説家

小説家

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  • サイズ B6判/ページ数 413p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062136259
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

死、別離、転向、そして悔恨―勝目梓、最初で最後の自伝的小説。

著者等紹介

勝目梓[カツメアズサ]
1932年東京生まれ。様々な職業に就きながら「文芸首都」の同人となり小説を発表する。1974年「寝台の方舟」で小説現代新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うのきち

16
「彼を文学的な迷路の奥深くに誘い込んだのが仮に中上健次だとすると、そこからの訣別を決意させてくれたのは森敦だったと言える。そろって文学の権化さながらだったこの二人に出会って、彼は目指す先に自分の出る幕などないことを、はっきりと思い知ったのだった」。勝目梓は四十にして純文学作家から娯楽小説作家に転身するのだが、「小説家」という身を削る職業であることに変わりはなかった。「行き当たりばったり」の人生だというが、彼は書くことへの執着心だけはずっと持ち続けていた。だからこそ“売れっ子”にもなれた。2011/05/14

散歩いぬ

5
著者が自身を「彼」という突き放した呼称で冷静に綴った自伝。 無頼な人生を地で行きながら、若い頃に私小説を否定していた勝目さんが七十歳でこれを書いた。素晴らしい。 「ブンガク」に目覚めた青年が母と妻子を捨て、駆け落ち同然に上京。トラックドライバーで糧を得ながら同人誌に参加しする。「ブンガク」が「文学」に変わった頃、若き中上健次の出現で自分の内面に文学的希求がないことを知る。森敦の文学理論・方法論の深さにとうとう文学を諦めた。プロの純文学作家としてあと一歩であったのに。つづく2012/02/29

おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ

4
かつて風呂屋の番台は男の憧れる職業であった。しかし生業とするためには厳しい修練をくぐり抜け、センターポジションを与えられレギュラーとなってからも眺められるのは麗しき妙齢の裸体のみならず、たくあんのようなお婆ちゃんの乳やジジイの尻や長短さまざまな他人のイチモツなどをまんべんなく監視することが求められる過酷な職務である。AV男優とて女優を選べるわけでもないのに常にギンギラパラダイスを要求され、産婦人科医は見慣れすぎて欲情の対象を見失い鮑と赤貝は食えなくなるのだ。エロいだけでは官能小説作家にはなれないのである。2016/08/18

けいこう

3
自伝的小説とのこと。団体や人物が実名であったり、年月日なども書かれていることから、ある程度判断が出来るだろうと思う。話は大衆小説の作家となる「彼」の少年時代から現在までのことが書かれているのだが、高校を中退した少年がいずれ小説家として身を立てるまでを書いたとはいえ、立身出世の話というわけではなく、「彼」の過去にたいする数えきれない悔恨が執拗に書かれている。そしてそれらのことは現在でも解決していない、というか解決などしようもない問題であり、文学観として、己のことをあまり書きたくない「彼」の人生を「彼」が2017/12/17

ラムネ

3
勝目梓といえば、官能小説の一番手という印象がある。 僕が物心ついた時には、既に売れっ子作家だった。 もう70歳を越えているという彼の自伝的小説だ。 幼少時代は不遇といっていいかもしれない。 その陰影は成人してからもどこかつきまとい、 特に女性関係では結婚・不倫・再婚・離婚と、いわゆる幸せとは言い難い。 でも典型的な幸せなんて世の中にない。 人に歴史ありを感じさせる一冊だ。2017/01/09

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