出版社内容情報
講談社児童文学新人賞受賞作家のやさしく、すこやかな、感動作。
そうか、少年って、こんなふうにおとなになるのか。
夜の神様が、どうかどうかぼくが今話したことをすっかり飲みこんでくれますように。
第45回野間児童文芸賞受賞
第23回坪田譲治文学賞受賞
椰月 美智子[ヤヅキ ミチコ]
著・文・その他
内容説明
講談社児童文学新人賞受賞作家のやさしく、すこやかな、感動作。そうか、少年って、こんなふうにおとなになるのか。
著者等紹介
椰月美智子[ヤズキミチコ]
1970年生まれ。神奈川県小田原市在住。『十二歳』で第四十五回講談社児童文学新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
99
良かった。友だちのいなかった枝田光輝(えだみつき)は5年生のクラスで押野と友だちになる。いつも明るくて元気で、お菓子作りの上手なお姉さんがいる。押野は学級委員選挙で1票入った光輝に「エダイチ」というあだなをつけた。そこからエダイチの新しい毎日が始まった。小学校高学年、思春期のほんの少し手前の男の子の子どもらしさがあふれている。ある日お母さんの新しい仕事で転校することになるが、強固に反対したエダイチはおじいさんと住むことになる。そこには眩しい夏休みが待っていた。4人で手巻き寿司を食べるシーンは泣けたなぁ。2018/11/08
taiko
87
友達のいなかった光輝に友達が出来た小5の夏、母は突然引越しをすると言った。転校をしたくないと言った光輝は、祖父の家で一緒に暮らすことになる。…少年の多感な時のひと夏の物語。親の都合で子が振り回されることは多々あると思います。 そんな中、光輝はおじいさんと暮らせるようになったことで、その悲劇から回避出来たのだと思いました。あのまま転校することになっていたら、母のその後の様子から、彼の人生はきっと違ったものになっていたはず。彼にとって正しい選択をしてくれた母に、そこだけは、他人ながら感謝したい。→続く 2019/06/02
名古屋ケムンパス
67
何の取り柄もない、ひとりで過ごす毎日を孤独と感じることもなかった少年「えだいち」の小5の夏。クラスメイトの押野との出会いと母さんの突然の転職のために、これまでとは劇的に異なる夏休みを過ごします。母さんと離れて暮らす淋しさとクラスの人気者の押野から受ける刺激の大きさに胸をドキドキさせて、朴訥とした祖父との暮らしに癒されながら少年の心は大きく成長したのです。読者はいつの間にか「えだいち」に心からの声援を送り、彼の抱く素朴な感情に共感と感動を禁じえません。2019/12/25
紫 綺
62
初・椰月作品、児童書。読友さんの感想がきっかけ。懐かしさが、心の中にゆっくりゆっくり充たされていく感じ。子供たち一人ひとりの行動や言動にまだるっこしさを感じたり、親しみを感じたりと気持ちがほっこりする“しずかな”作品。2011/08/27
クリママ
57
小学校5年生。等身大の物語。しっかりしてもいないし、ませてもいない。事情で祖父と暮らすことになったが、ごく普通に毎日が繰り返される静かな日々。思い出すことも、覚えていることも多くはない。しかし、その日々がキラキラ輝いていたこと、そしてかけがえのない日々であったことを思い出させてくれる。児童書ではあるが、大人になってしまった人の本でもあると思う。2017/02/14