内容説明
イギリスとアイルランドには行きたい。だが、飛行機には乗りたくない。恩田陸、初のエッセイ集。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1991年、第三回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補となった「六番目の小夜子」(新潮社)でデビュー。2005年、「夜のピクニック」(新潮社)で、第二十六回吉川英治文学新人賞、第二回本屋大賞受賞
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感想・レビュー
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hiro
67
『メガロマニア』に続けて、この『恐怖の報酬』日記を読んだ。恩田さんのこの2つの作品とも、表題では決して紀行文とはわからないw。2003年、恩田さんが初めての海外旅行先に選んだのは、イギリスとアイルランドで、この本はその紀行文だが、最初の三分の一は、飛行機嫌いの恩田さんが飛行機に乗るのが怖いという話ばかりw。作家が旅をするのは新たなイメージを旅に求めているからだろうと、この本で恩田さんは言っているが、この旅でどの作品イメージをつかむことができたのかが知りたくなる。また、恩田さんの紀行文を読んでみようと思う。2012/04/02
TATA
47
20年ほど前の恩田さんの英国、アイルランド旅行記。まあ、ホントに飛行機が嫌いな様子で、行きのフライトで怨嗟の言葉が並ぶ。挙げ句の果てにはBA機長のアルバートへの罵声の数々に(笑)。うーん、多分一番面白いのここだな。ストーンヘンジにテートモダン、ダブリンでもトリニティカレッジの図書館とあー行ったなあと思い返すところもあるし、酔っ払っての文学談義も興味深いのだけど、アルバートへの罵声を超えることはありませんでした、はい。私の中ではJAL機内誌にある浅田次郎さんの「つばさよつばさ」と並ぶ傑作旅行記でした。2023/05/21
ミナコ@灯れ松明の火
27
旅行記、と言うよりは飛行機に対する恐怖と盛大に戦いを繰り広げる一冊。恐怖をまぎらわせるために書く、ということも根っからの作家さんなのだなあと変に感心してしまった。恐怖を紛らわせるための苦肉の策としての妄想ではあっても、ああこうやって物語を紡ぎ出しているのか、、と小説の破片を垣間見たようで楽しい。わたしも鉄の塊が飛ぶわけがない、落ちてくれるなという念力で飛んでいるに違いない、としか思えない飛行機恐怖症。そこらへんのホラーよりも、リアルにぞくぞくしたかも。2011/11/08
再び読書
26
まるで「地球の歩き方」のような見せ掛けに見事に乗り、読んでしまった。恩田氏の引き出しが「夜のピクニック」の何とも言えない清清しさだけでは無いと、わかるエッセイ。特に恐怖に関しては、とても感性が豊かなのを思わせる、ホラー小説や怖さに関する記述が目立つ。残念ながら、小説以外の恩田氏の魅力は見つけられなかったが、「ドミノ」に続き、何を読もうか楽しみになりました。また、ビールが飲みたくなる酩酊ぶりにも、微笑ましさを感じる本でした。最後に、死ぬまでにスコットランドの蒸留所を巡る旅がしたいなと思いました。2014/02/04
ごへいもち
25
地球の歩き方・イギリスみたいな装丁に思わず手にとってしまった。高野本を読んでいる私には酩酊も混乱も見えずおとなしい旅行、それもアシスタントがついて現地の人との直接の接触もない楽な旅と感じた。まぁ雑誌社がスポンサーでは作家に万が一の危険があるような設定はないわけで。そして小説家はどんな状況でもプロットを考えるらしい。英国に興味があって読む人にとってはつまらないかも。恩田陸ファンには面白いかも。子供の頃からの読書家なんだったなぁと感心した。ショックなのは憧れのスコーンが甘すぎてまずかったということ2012/09/13