アフターダーク

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  • サイズ B6判/ページ数 288p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062125369
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。

「風の歌を聴け」から25年、さらに新しい小説世界に向かう村上春樹書下ろし長編小説

マリはカウンターに置いてあった店の紙マッチを手に取り、ジャンパーのポケットに入れる。そしてスツールから降りる。溝をトレースするレコード針。気怠く、官能的なエリントンの音楽。真夜中の音楽だ。――(本文より)



村上 春樹[ムラカミ ハルキ]
著・文・その他

内容説明

真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。「風の歌を聴け」から25年、さらに新しい小説世界に向かう村上春樹。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

185
発売した’04年以来、10年ぶりの再読、とはいっても正直、どんな話だったか全然覚えてはおらず、ある意味新刊を読むのに等しい感覚で読みました。とにかく、何が何やらさっぱり???感全開のハルキワールド真骨頂です。こういった作風がのちの『1Q84』シリーズへとつながっているのかなぁと感じます。「面白いか?」と聞かれれば、正直「面白い」と即答はできかねる作品ですが、どうしてか不思議と先へと先へと気になって読み進めてしまうのがハルキワールドの不思議な魅力です。誰もが楽しめる作品ではありませんが、疲れない作品でした。2015/05/16

ヴェネツィア

167
晩秋のある日のmidnightから次の日の始まりまでを描く、都会の夜の文学。バーテンダーは言う「真夜中には真夜中の時間の流れ方があるんだ」。みんなはそれぞれに孤独で、そして中国人のマフィアは不気味だ。また、名前を捨てたコオロギには奇妙なリアリティがあるが、村上春樹はもともとは関西人だったことを思い出した。2012/05/22

どんぐり

108
23時56分の深夜から始まり、06時52分の朝に終わる物語。普通の人は眠っている時間に、いく人かの人が時を刻んで繋がる。私たちが最初に見るのは、空を高く飛ぶ夜の鳥の目から捉えられたデニーズで本を読でんいるマリ。次に部屋で2か月も昏々と眠り続ける姉のエリ。観察者がカメラとなってとらえた丹念な描写が続く。観察者とは誰なのか、そのことを問うことはあまり意味がない。無視して先に進もう。トロンボーンをやっている高橋、ラブホ「アルファヴィル」のカオルにコムギにコオロギ、中国人の女と男。そして謎の白川、お前は誰なの。→2021/09/04

naoっぴ

99
一体どこに連れていかれるのだろうと思いながら読みましたが、そこで終わるのですか。とはいえ、心地よく爽やかな不思議な読後感。人の本質をつくような言葉の数々が印象深かった。人それぞれの行動の表面的な軽さと、心に抱える深くて重い内面との対比がとても印象的。登場人物がみな人にはわからない重い何かを抱え、それを様々な視点から見つめる描写を通し、人のもつ多面性の深みとそれを想像することの大切さなどを感じた。エリの眠りの意味は最後までわからないけれど、きっと読む人なりの感想があるだろう一冊。新鮮な読み心地。2017/04/07

キムチ27

58
再読だけれどアンニュイ感満載の暗闇から日の出の時間の雰囲気の奥が見えない掴めない。今回読んで感じたのは実験劇場を俯瞰している観客の気持ちで見つめた事。会話もト書きも、新劇や文学座の台本の様な匂いがした。エリとマリ、血が繋がって居ながらも、見えない谷が二人の間にあるような。彼方からと此方からの視点の違いを煎じ詰めていく一晩の心の旅。カオル、コオロギ、高橋、舞台のラブホ・・都会の絵図。ペットショップボーイズとヴォゴレヴィチ、しかもイギリス組曲、ライアンオニール、アリマッグロウ。。なんというフィールドの広さ!2023/08/21

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