蛍火

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  • サイズ B6判/ページ数 372p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062124362
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

消せない過去、日々の溜息が、布目にからみつく。北の街の夕暮れどきに、「ちぎり屋」と「染み抜き屋」の灯がともる。芸妓から成島屋の御内儀に納まった紫乃が持ち込んだ、男物の紋付羽織。結び雁金の紋所は、かつての恋が、紫乃の心に染みになって残っていると告げているように、つるには思えた。「こういう染みって、素人でも抜けるものですか」紫乃の言葉に、つるの胸の底で赤黒い炎が大きく揺れた。身の裡のほとぼりを鎮めるために、つるは一人、おもんの「ちぎり屋」の暖簾をくぐった―「徳壺」より。他の収録作「星月夜」「十色の虹」「花魁鴨」「蛍火」。

著者等紹介

蜂谷涼[ハチヤリョウ]
1961年、小樽市生まれ。小樽商科大学短大部卒。シナリオ教室で学んだ後、1990年、「銀の針」で、読売ヒューマン・ドキュメンタリー大賞カネボウスペシャル佳作受賞。小説では、1994年、「分別回収」で文学界新人賞最終候補に、1996年、「煌浪の岸」で小説新潮長編新人賞最終候補になり、この作品を加筆訂正して『煌浪の岸』(読売新聞社)を刊行
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