内容説明
私は誰、此処は何処。小僧は彷徨う。小僧は進む。これぞ妖怪。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963年北海道生まれ。1994年『姑獲鳥の夏』(講談社ノベルス)でデビューする。1996年『魍魎の匣』(講談社ノベルス)にて第四九回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。1997年『嗤う伊右衛門』(中央公論社)にて第二五回泉鏡花文学賞を受賞。2003年『覘き小平次』(中央公論新社)で第一六回山本周五郎賞を受賞
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感想・レビュー
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優希
88
単行本で再読です。落語調の語りが楽しいですね。そして豆腐小僧が可愛い。ちょっと抜けたところのある豆腐小僧が様々な妖怪と知り合いながら、自分や妖怪について考え、深めていく。ある種の哲学といってもいいと思いました。妖怪についての解釈は新鮮で、こういう見方もあるんだと気付かされます。妖怪中心に織りなす物語は、自己を見つめ直すきっかけとしていいのではないでしょうか。豆腐小僧の歩む道のりは人生の道のりと考えてもいいような気がします。2017/07/22
めしいらず
55
誤って敷衍された”妖怪”の定義や認識を正さんとして書かれた小説か。妖怪とは概念であると。己が存在意義に迷うた豆腐小僧が先輩妖怪達と触れ合う中で自我を確立していく物語だ。発想が見事。ただこれほど長く書く必要があったか。妖怪が入れ替わる度にほぼ同じ内容の説明が何度も何度も繰り返されるので閉口してしまった。まるで長く書くのを目的としているみたいだ。難解な内容を平易な言葉で判らせる落語調の語りは良いのに。小僧が一挙動するのに一話丸々使われたりするのだ。多分10分の1の長さで書かれても十二分に伝わったのではないか。2019/09/15
昼夜
54
二の腕が筋肉痛(笑)。映画化で読もうと思ったんだけど予告の印象とずいぶん違うなぁ。妖怪の哲学書って感じで普段は妖怪といえば物語での印象がガラリと変わったけど、すぐに小難しいことは忘れちゃうだろうな(苦笑)。でも、妖怪の存在が知らないうちに自分に根づいて影響を与えてきたのは確かだなと思った。2011/09/10
優希
37
再読です。豆腐を持った妖怪だから豆腐小僧。ちょっと抜けたところがあるのが可愛いですね。豆腐小僧が色々な妖怪と知り合いながら、自分や妖怪について考えるのはある種の哲学のように思えました。豆腐小僧の歩む道とも言えるでしょう。落語調の語りも面白いです。2023/12/31
☆エンジェルよじ☆
28
京極夏彦+(ぶ厚い+妖怪)×怖い=読まない。という試験問題に出そうなほど私の中では重要公式なのだが本屋で積まれていた表紙にひかれ読んでみた。文章を読むというより落語話を聞いてるような文面だった。天然ボケの憎めない豆腐ちゃんと達磨先生の会話が面白かった。阿呆面だの鳥頭だのウマシカだのさんざんに書かれている豆腐小僧。現代なら名誉毀損だよね~♪2011/05/25