内容説明
ぼくはいつもここにいて、訪ねてくれる人を待ちながら、空を見つめている。くじら座のフーガ。銀色ドーム。十二光年の孤独。『夏のロケット』の著者が、星に魅せられた少年の「その後」を描いた長編小説。
著者等紹介
川端裕人[カワバタヒロト]
1964年生まれ。東京大学教養学部卒業後、日本テレビ放送網に入社。科学技術庁、気象庁の担当記者を経て97年退社、作家活動に入る。98年に刊行したデビュー作『夏のロケット』は03年に入ってから全国の書店で人気を集め、ロングセラーとなっている。ネイチャーライティング系のノンフィクション作品も多数ある
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感想・レビュー
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ならりくらり
6
ほんとにこの人は僕の感受性に直球を投げてくる。学生の頃に読んでたら変なほうに転んでたかもしれない。今読むとうまくは言えないが、とてもとても切ない気分になる。2010/01/14
りさぽん
5
すんごいさみしくなった。孤独だーーーーー。私は何にのめりこめるかなぁ。のめりこめたら淋しくなくなるわけでもなさそうだけどなぁ。でも退屈でも平穏の方がいいと感じてしまうなぁ。お金があればなぁ。でもお金は好きになれないんだよなぁ。マネタリー社会のばかやろーーーー2012/09/03
ね恋
4
常に自分の特別な仲間を、戦友ともいえる熱く強い同志を求めている。しかし、運命の違いに孤独を感じ、人は孤独なのだと理解する。個は孤独でなければ個ではない。しかし、全ての個はひとつになることができる。個がなければ何も存在できない。自分と知覚する自分の一部を全体と切り離してしまった人間の苦悩なのだろう。2015/01/16
zanta
4
昔赤ちゃんの粉ミルクのパッケージに、女の子がその粉ミルクを持って立っている絵が描かれたものがあった。その絵の中の粉ミルクにも同じ絵が描かれていて、無限に続く連鎖を感じたのを、克明に思い出した。…って何で?星好きな少女だったことも思い出した。豊かで寂しい不思議な読後感。2012/12/09
nktnh
3
明るく夢に向かう少年達の話かと思ったら随分と切ない気持ちになりました。淡々と語られていく波乱万丈な人生。宇宙の大きさに比べたら、やっぱりそれは小さな出来事なのかもしれない。空を見上げて、星を見るのではなく、聴いて感じるのもいいのかも。2012/08/21