老人のための残酷童話

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062117548
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

大ベストセラー『大人のための残酷童話』から20年、現代文学最高の語り部・倉橋由美子が贈る10篇の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

161
年を重ねてゆくことで、欲望は純度を増してゆくような気が致します。老いても恋は止められませぬ。美しいものとは交わりたく思い、自身の容貌も若い頃より艶を増しまし、贅沢に生き食べ、滓は排泄し、子孫を欲し、永遠と変わらぬ人生を求め、死して果てたのちも刺激の多い生き方(死んでいるので生き、とは妙ですね。死に方、でしょうか。でも死ぬ、その瞬間ではなく永劫の)を希求す。欲望は醜く、身勝手で美しく、きっと際限がないのでしょう。2019/12/04

ももっち

67
大人のための残酷童話が、とても面白かったので、大きな期待を持って図書館で借りて来た。超えてはいないけれど、これはこれで、流石、倉橋さんというべき短編集。童話と言うより奇譚。「大人のため・」のような美しさと残酷さにキレはないけれど、老人をモチーフに綴られた話には、滑稽なナンセンスと虚無感が織り込まれている。そして、彼らを枯れ切ったものでなく、性欲に満ちた存在に描いている。姥捨山異聞や水妖女のネットリとしたエロスと狂っていく人間の鬼気迫る様子や、犬の哲学者の禅問答の髣髴とさせる会話の妙!倉橋さんの知性に酔う2017/05/06

ゆかーん

51
お爺ちゃんだってまだまだ元気!!老人というタイトルから、ヨボヨボした人を思い浮かべましたが、どれもこれも性欲溢れ活力みなぎる、目的を持って生き続けている老人ばかり。タイトルから想像するに、これまでのお年寄りのイメージとは一味違った物語が楽しめるはずです。しかしながら童話という割にはオリジナルな話が多いので、昔語を想像していた人には若干肩透かしをくらうかもしれません…。読めば読むほど残酷で生々しい描写の数々に後半バテました。一番最初の「ある老人の図書館」という話が、唯一ドロドロしてなくて私的に好きでした。2015/08/21

cryptoryou

43
人は老いてゆき、あちこちにガタがきて、さまざまな身体の不調、いくつもの病をかかえ、そしていつかは必ず死を迎える。本作で描かれるのは残酷なまでのシュールな老いの姿。あらがう者、あきらめ受け入れる者、死を目前にしてもその瞬間がおとずれるまで活力を持って生きる者、散りゆく前の生々しい“生”と“性”の童話。全般にゾッとする中に滑稽さを感じさせる、ブラックジョーク感をたっぷり散りばめた短編集。途中はなんだか読み疲れましたが、冒頭の「ある老人の図書館」と最後の『地獄めぐり』は面白かった。ラストは思わず吹きだしました。2017/04/21

ブルームーン

29
「童話」というよりも「不思議な話」に近い感じがする老人達が主役の話を集めた短編集。「老人のための」というタイトルが付いているせいか、「死」にまつわる話が多く、どことなく物悲しい雰囲気が漂う。最後の話が結構衝撃的だった。2014/06/06

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