リトル・バイ・リトル

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 155p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062116695
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

高校生作家の芥川賞候補作。少しずつ、少しずつ、歩いていこう。楽しいことも悲しいことも、みんな大切な家族の時間とひらかれてゆく青春の息吹。

著者等紹介

島本理生[シマモトリオ]
1983年、東京生まれ。1998年、「ヨル」で「鳩よ!」掌編小説コンクール第二期10月号当選(年間MVP受賞)。2001年、「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。2003年、「群像」2002年11月号に発表された「リトル・バイ・リトル」が第128回芥川賞候補となる。同年春、都立新宿山吹高校卒業後、立教大学文学部入学予定
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

158
島本さんの芥川賞候補作品で、書かれたのは今から10年以上も前の2003年で、作者さんが二十歳の頃です。時を経てもやはり素晴らしい作品というのはいつまでも瑞々しさを失わず、性別関係なくココロに響きます。本作も何か特段、大きな動きがあるわけではないのですが、やはり文章のクリアさ、作風の透明感は作者さんが若くして既に只者ではない貫禄を感じます。こんな圧倒的な存在感のある作品、作風を出されたら同世代の方々はそれはもうスゴいインパクトだったでしょうね。どこかちょっと切ない感じがありながらも、微笑ましい作品でした。2016/09/06

新地学@児童書病発動中

104
20歳の時に書かれたとは思えない完成度の高さで驚いた。高校を卒業してからアルバイトをして暮らす女性の日常生活を、淡々とした文体で描いた作品。読みやすく的確で、詩情を感じる文章が好きだった。気負ったところがないし、詩的な表現を多用することもない。解説で原田宗典氏が褒めている通りだ。登場人物たちが、心の中に傷を抱えているところが現代的だ。例えば、主人公のふみは子供の時に父が家を出ていった時の悲しみを、吹っ切ることができない。彼女の恋人の周はいじめられた経験を持つ。そのような人達を慈しむように作者は描いていく。2018/07/21

nico🐬波待ち中

103
島本さんの原点ともいうべき作品。女子高生が書いたとは思えない程しっかりした内容と構成にただただ驚く。高校を卒業したての女子と男子高校生の甘酸っぱい距離感は照れてしまう位に微笑ましい。仲良くなっても敬語(彼女はタメ口なのに)の彼にきゅんとなった。島本さんの淡々と俯瞰的に物事を視る風の文章は落ち着いていて、年齢を感じさせない大人びた雰囲気を纏っている。家族のことで悩み多き彼女を取り巻く問題はこれからも続くようだけれど、彼との恋でささやかな光が灯ったように感じられる、とても爽やかで好感の持てる作品だった。2018/07/21

青蓮

89
父親が違う妹のユウちゃんと母との三人暮しのふみ。キックボクサーの周と出会い、恋をする。複雑な家庭の事情はあれど、何か劇的なことが起こるわけでもなく、淡々とした静かな物語でした。近年の作品と比べるとやや物足りなさも感じましたが、裏を返せば、それだけ島本さんが作家として大きく成長したんだと思います。これからも島本さんの作品を読み続けたいです。「どんな言葉にも言ってしまうと魂が宿るんだよ。言霊って言うのは嘘じゃない」書道の先生である柳氏のこの台詞が胸に響きました。2016/03/29

優希

42
凄くふわふわして危うい感じがしました。母と異父姉妹のちぐはぐな関係はとてももろくて、いつ壊れるかわからない、触れてはいけないものがあるような気がします。静かに、淡々とした日常の風景。ふみを取り巻く環境は決して居心地のいいものではないのかもしれません。気楽な母、幼すぎる妹に囲まれて、ふみの心は何処か不安定なように見えました。心を閉ざしているような雰囲気のあるふみにそっと寄り添ってきた周くんがほのかな光だったのかもしれません。明るい作品と言うわりに陰鬱感があるんですけど、何処か希望を秘めていそうでした。2014/05/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/568789
  • ご注意事項