内容説明
何が飛び出すか誰にもわからない最強の純文学。圧倒的文圧で疾走する表題作『熊の場所』を含む全3編を収録。
著者等紹介
舞城王太郎[マイジョウオウタロウ]
1973年福井生まれ。2001年、『煙か土か食い物、Smoke、Soil or Sacrifices』(講談社ノベルス)にて第19回メフィスト賞を受賞しデビューする。同年『群像』に発表した短編、『熊の場所』は第15回三島由紀夫賞候補作となる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あも
76
熊の場所/バット男/ピコーン!の3本。訳分かんないのにエンタメで、意味不明なのに文学だ。暴力はいつも唐突で理不尽で、恐怖に飲まれないためにはその場所に戻らないといけないし、人生には間違ってるも正しいもなくて、所詮スポーツではないそれに勝ちも負けもないし、何かを失うって事はその何かを失ったままだし、そして失い続けることであって、だけど悲しみは生命力を凌駕する事はできなくて、僕らは笑って泣いて時に馬鹿になってここにいる。文庫既読。単行本購入。表紙が特殊加工でモコモコして気持ちいいので図書館で探して触ってみて♡2017/09/20
とら
47
「熊の場所」「バット男」「ピコーン!」の三編収録。この3つに共通するものがあるとすれば、努力することだと思う。恐怖から逃れたければできるだけ早くその恐怖の源に帰る努力をする、どんな人間でもバットを持てば殴られることもある、殴る努力をする、何だって練習すれば能力は精錬され、精通するまでに時間はかかるけれど、一旦精通してしまえばなかなか忘れたりしない。これだ。舞城さんの小説は適当にやってるように見えて、何か訴えてくる。それを見つけるのも楽しいし、ただ純粋に物語も楽しい。何か一ヶ月に一回は読んでみたくなるな^^2011/10/07
阿部義彦
23
私の何が飛び出すか解らないびっくり箱の作家、舞城王太郎さんのデビュー直後の短篇3編(内最後のひとつは書下ろし)が入ってます。暴力とエロは相変わらず大きなモチーフですね。特集漫画家の根本敬さんを思い出させる所謂因果者の物語とも言えるのか?殆ど想念や因縁の世界を遍在させて不気味なまでの衝撃的読書体験をさせてくれます。私は大好きです、漫画原作(バイオーグ・トリニティ)などでも活躍して頼もしい限りです。また女の子が魅力的ですね。掃き溜めに鶴!2018/05/04
Hamayan
15
内容は罪深いのですが、3作品ともに読みやすかった。独特のワールドを福井の風景がやわらげている。 他の作品も読んでみたい。2017/09/30
fakegrit
13
名著。恐怖について。淘汰される運命に在る弱者について。愛すべき者の喪失について。そろそろ私たちは立ち向かわなければならない。...まぁ一番リアルに突き刺さったのは、最後の1文だったりするんですけど。 「買った本はちゃんと読めっつうの馬鹿!」 ごもっともです。2009/08/17