内容説明
自らの掟に従い、15歳で父親を手にかけた少年。一人息子を国家に惨殺され、それまでの人生をなげうち鬼となった男。祖国に絶望して叛逆の牙をむく、孤独な北朝鮮工作員。男たちの底深い情念が最新のシステム護衛艦を暴走させ、一億二千万の民を擁する国家がなす術もなく立ちつくす。圧倒的筆力が描き出す、慟哭する魂の航路。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
20
無駄が多いような気もしないでもなくて、読んでて肩が凝りました。ハリウッド映画のようなエンタメ大作。メディアミックスされるだけの事はある、と思う反面、読了してみると、注いだ集中力と時間を返して欲しくなるような読み物。平和ボケした日本人に、一応、警鐘を鳴らしてはいるけどねぇ。2013/05/12
とも
19
12〜13年振りの再読。やはり熱い話だった。どんでん返しを途中で持ってきて、それに頼ること無く、最後まで読ませる筆力にただただ敬服しかない。フィクションなはず(?)のダイスという組織が妙にリアルに感じる一方、自衛隊の存在意義を考えさせられ、慣習による足枷がもどかしく感じる部分も十分伝わってきて、その中で一個人として、立ち向かう先任伍長が輝いてみえた。臨場感もあり、感動も味わえる、やはり素晴らしい作品であった。2017/06/18
さゆ
18
戦争放棄、憲法9条、自衛権、北朝鮮、アメリカ。毎日の暮らしの中で、意識的に考えないようにしている事柄を、つきつけられたような気がする。自分自身や家族が戦争で死ぬのは嫌だし、他の国の誰かを殺すことも是とは思えない。でも、じゃあだからと言って、世界平和なんてものが可能だとも思えない。考えないようにしていたことを、この本によって暴かれたような気がする。 2010/03/06
紅花
16
夫の本。自衛隊、地下組織、夫はこの手の本が大好きみたい。読友さんに教えて頂いてから、夫も通勤時間(片道約2時間)を読書にあてるようになりました。ので、一番本を読まなかった夫が、一番本を読む人になるぐらい、面白かった模様。2015/09/09
もぐ
16
自衛隊?イージス艦?最初は難しそう…と思ってたけど、ぐいぐい引き込まれた衝撃の本。文字なのにドラマを観てるような臨場感があって、組織や戦闘シーンや人間ドラマ、感情の動きもすごくリアルで、鮮明に伝わってくるというか。先が読めない展開にはハラハラして、結末にはびっくり。仙石も行も艦長も、色々あったけど人として格好いいし尊敬する。自分もこんな大人になりたい。一気に福井さんのファンになった一冊(^^)2013/03/15