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照柿

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  • サイズ B6判/ページ数 498p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062069021
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

野田達夫、35歳。17年働き続けてきた平凡な人生に、何が起ったのか。達夫と逢引する女、佐野美保子はほんとうに亭主を刺したのか。美保子と出会った瞬間、一目惚れの地獄に落ちた刑事合田雄一郎はあてもなく街へさまよい出る。照柿の色に染まった男二人と女一人の魂の炉。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

雪風のねこ@(=´ω`=)

114
照柿とは肚の底で燃える生命エネルギーの色である。感情の生まれる元でもある。その制御を誤ると、精神は”割レ”、人は醜く歪んでしまう。勢いを失いどす黒く固まったなら、その重みに耐えかね、苦悶しながら生命を終える事になる。マークスの山(文庫版)で語られた歪な命の形に解釈が似ている。人が抱く愛憎の感情は理屈で生まれるものではない。性別に限らず。その点を丁寧過ぎる程、丁寧に描いていると思う。理屈ではない。殺しにしても、女を口説くにしても。全て“照柿”が決している事で、理屈は自己を正当化する方便に過ぎないのである。2019/09/20

ダイ@2019.11.2~一時休止

108
合田雄一郎刑事その2。本作の主人公?の2人(達夫・雄一郎)の行動に理解できず、前作よりも面白さ半減って感じ。2016/01/02

いつでも母さん

106
髙村薫、恐れいりました。降参です。やっと、やっと読了しました。『照柿』なんの事か?と思うも、なるほどね・・人間が壊れていく様が見事に描かれている。熟した柿の色は、堕ちていく達夫・朽ちていく美保子・そしての合田刑事の凶気の色だったのか。ここまでの人間描写は髙村薫ならではの筆力だろう。『マークスの山』や『レデイ・ジョーカー』の時の合田刑事と同じ人間なのか?微かな記憶を辿るも、私の老いた頭では美保子への報われぬ想いと達夫への嫉妬を併せ持つ合田が哀しいとしか言えない。熟れた柿はただ朽ち落ちるだけだった。2015/09/19

kei302

66
講談社文庫『照柿 上』の感想、訂正します。列車に撥ねられた事件がメインだと思い込んでいました。 部分的な修正箇所はあるものも、単行本と文庫本の大幅変更はありません。 500ページほぼ一気読み。意識朦朧、眼精疲労ドライアイで判断能力著しく低下。 1995年NHKBSでドラマが放映された。これを見たから混乱したのかも…。 合田:三浦友和、達夫:野口五郎(!意外すぎる)、2人の男を惑わせる運命の女に田中裕子(ピッタリ) ラストの電話のやり取りは何度読んでも泣ける。2021/05/06

papako

63
単行本で再読。仕事に倦み疲れた合田の狂気が、ふつふつと発酵していく物語。暑い夏の熱気と汗と煙草の匂いも凝縮して詰め込まれていて、行間から滲み出してくる。内容は、ただただ仕事中に見かけた女に執着し、幼馴染に嫉妬と執着し、部下の探してきた殺人容疑者を追い詰めるために300万も借金し、元義兄の機嫌をとる。合田の説明できない内面を見せつけられる。二段組500ページ、フォントサイズも小さい。読むのに3日4時間半もかかった。それでもやはり集中できるのは、私が高村さんの文章が好きで、合田が好きだからかな。2016/09/04

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