内容説明
村上春樹の魅力の世界。プリンストン通信。久々の長篇エッセイ。アメリカより愛をこめて。
目次
梅干し弁当持ち込み禁止
大学村スノビズムの興亡
アメリカ版・団塊の世代
アメリカで走ること、日本で走ること
スティーヴン・キングと郊外の悪夢
誰がジャズを殺したか
バークレーからの帰り道
黄金分割とトヨタ・カローラ
元気な女の人たちについての考察
運動靴をはいて床屋へ行こう〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
78
村上氏の考え方、人となりが伝わってくるおもしろいエッセイでした。おもしろいと思えるのは、共感する部分とそういう考え方もあるのかとと感心する部分がけっこう含まれていたからかもしれません。アメリカという国とそこで生きる自分を冷静に、でも楽しみながら見つめて綴っています。差別や偏見を感じることもあると書かれていましたが、それも含めてのアメリカ、いえ、それ以上におもしろいアメリカということでしょうか。日本はいいところがたくさんある国だけど、外国に行くと違う考え方もあるのだと知って、それぞれの良さを感じますよね。2016/05/23
とも
45
村上春樹さんのエッセイはあまり読んだことがなかったが、とても面白かった。時代も場所も違う所の空気感が伝わってきた。文化の違いを言葉を通して考えさせられた。2020/11/28
aloha0307
32
春樹さんがプリンストンに滞在していた時(90年代前半 己も当時NY・シカゴにいたのだなぁ)に綴ったエッセイ 自由の国だと思われている米国に内在する差別や偏見は私も感じました🕰️ "自分が単なる一人の無能な外国人、よそ者でしかないことを実感する"〜まったく同感です。そうそう 夕方4時過ぎるとビッグマックが99セントで買えた(これには大変お世話になりました)んですよね。あ〜懐かしい🌸2021/08/29
なにょう
30
「第二印象」から「第三印象」くらいの目で見た、村上さんのアメリカ。昔読んだが、その当時は語学にまつわるエッセイかな?という印象だった。違う、これは90年代初頭、PCが普及しだして(netはまだない)ミスタ・クリントンが大統領になる頃のアメリカ滞在の話し。とにかく、饒舌な村上さん。★外国暮らしは大変だ。むかっ腹立つし、傷つく。でもあとで冷静になって「これは僕にとってはある意味では大事な経験なのだ」と経験を味わう。なるほど、なるほど。これが、実際に生きていくということだろう。いや、大変だけれどさ。2016/06/07
hanagon44
30
『僕は―たぶん自分が実際に体を動かして生きてきた人間だからだと思うけれど―どちらかといえば理屈をつける人たちよりは,現実に体を動かしている人たちに引かれる傾向がある。』という文が印象的でした。海外生活のメリットの一つが,個人として地縁も血縁もない背景も全く異なる孤立した存在で,『単なる一人の無能力な外国人,よそ者』でしかないことを実感できることであるとする見解におおいに頷くところがありました。エッセイをもっと読んでみたいと思います。2015/02/11