内容説明
訴訟事の“公認世話焼き”恵比寿屋喜兵衛のもとに若者が依頼に来た。兄が見ず知らずの男に手付金を返せと訴えられたという。さては公事師の詐欺事件か―。夫婦にしのびこむ隙間風と老いを感じながら、喜兵衛が見届けた事件の真相は?江戸のお裁きの真実に迫る本格時代サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のん
14
直木賞受賞作品。江戸時代の裁判の様子が、公事宿恵比寿屋の喜兵衛を主人公にえがかれている。とても緻密で読んでいくとみえてくる背後の存在。 面白かったです。2018/10/12
umeko
12
江戸時代の訴訟を丹念な取材のもとに、実に鮮やかに再現している。登場人物は皆、裏と表の顔があるようで、最後まで気の抜けない面白さだった。2017/02/15
ちゃこ
4
第110回(1993年下半期)直木賞受賞作。[1993年10月刊行] 文化12年(1815)10月〜文化13年(1816)晩夏。紬の代金をめぐっての訴訟を扱うことになった公事宿(旅人宿)「恵比寿屋」の主・喜兵衛。旅人宿と百姓宿の対立、病床の妻と妾(と隠し子)の存在、金の亡者の元兄弟子、等々、訴訟以外にも多々悩みのタネはあり…。/綿密な時代考証をもって描かれる江戸時代の訴訟と裁判や、予想できそうでできない展開は佐藤氏作品ならではの面白さ。色々と含みのあるラストも好かった。 /[2014ー151]2014/08/01
いましげ
1
時期小説に馴れておらず、又、学も無いことから、言葉の読み・意味を調べながらであったが、江戸の公事訴訟にまつわる人間模様が面白かった。2014/01/25
おさむ
1
歴史経済小説なるジャンルは初体験でしたが、楽しめました。江戸時代の裁判ものと思いきや、謎解きの要素が加わり、飽きさせません。直木賞受賞作。2012/11/23