内容説明
大阪の匂いたちこめる淀川沿いの町。その町に住む人びとの精いっぱいの暮し振りを、たしかなリアリティで愛惜の想い深く描いた珠玉の10篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨノスケ
4
舞台は大阪の淀川に近い町、そこに暮らす市井の人々の日常を描いた作品である。短編それぞれが淡々と日常を描いていて、リアリティーがあり郷愁を誘われる作品になっている。私はこの小説の随所に少年の頃の息苦しい思い出のデジャヴを感じ、また老年にありがちな寂しい胸の内を垣間見ることができた。とても良い小説に出会えた事をうれしく思う。2022/04/17
SIGERU
4
アンソロジー「大阪ラビリンス」に収録の「おたふく」の読み味がよかったので、未見だった岩阪恵子の短篇集を読んだ。 結論からいえば、やはり「おたふく」がベスト。作品によってムラが烈しい。主人公は初老の男性か女性、もしくは子ども。語り口は静謐、いずれの作品も緩やかな諦観や惆滅ともいうべき結末を迎える。顕かな破局で終る「子供の死」などはむしろ例外的で、しかも成功していないのが不思議。文学的な企みや仕掛けを排した、どストレートな私小説が櫛比している。2017/02/16
takao
2
ふむ2024/04/13