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小石川の家

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  • サイズ B6判/ページ数 214p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062061988
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

祖父幸田露伴、母文と三人で暮した十年―自らの流儀を貫き通した祖父の晩年を支え、凛とした生き方を引き継いだ母。小石川の家であったことと二人の最期を細緻な筆で綴る。

目次

風邪ひき
叱られる種
お粥
遊び
雪釣
正月
陣貝
長唄
椋の木〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クリママ

52
作者は、幸田露伴の孫。母親の幸田文が離婚して実家の露伴宅に戻った子供のころからのことを綴ったエッセイ。当時の暮らしの様子が、細やかだけれどさっぱりした文で描かれる。当時の、手伝いをしながらしっかり躾けられる子供、生活の様子、言葉など、古き日本のよさを垣間見るようだ。そして戦時中のこと。ただ、当時の大半の男はそんなだったとも思われるが、自分が大事、我儘で尊大な露伴は、なんだかとても器が小さいように感じられてしまう。当人は別居、娘は離婚、なのに孫娘へのあの物言いはどうなんだろう。2019/02/23

マカロニ マカロン

21
個人の感想です:B+。『あとみよそわか/うずまき』(幸田文)読書会参考本。著者は幸田露伴~幸田文の系譜の3代目。著者は格物致知の精神で祖父、母に厳しく家事や作法を躾けられたと書かれている。「初めてのお年玉」を貰い、それを握って上野松坂屋に母の帯枕を買い、余ったお年玉で苺を買って帰ったら、祖父に斎藤茂吉さんらが来ていて苺はちょうど良いと来客に出されてしまった。玉さんは不本意だったが、良い苺を見極める目を母に褒められた。文豪露伴と幸田家の様子を垣間見られる厳しさの中にもほのぼのとしたものがあるエッセイ集2023/11/22

ぽてちゅう

21
懐かしい、美しい日本語。少し辞書のお世話になった。他人を悪し様に言うのは失礼と思うが、知識があろうと多くの名著があろうと、この爺さん(著者の祖父:幸田露伴)はいけ好かない。ただ、この爺さんがいたからこそ、子の文、孫の青木玉、曾孫の青木奈緒へと「書き手」が繋がったことは否めない。忘れようにも忘れられない、書いても書き切れないほど、爺さんネタが筆を走らせる。これだけ書いてもらえば(それが悪口でも)爺さん冥利に尽きるだろう。あ、言わずもがなをやってしまった。祖父の薫陶を受けた孫が書き綴る、昭和の家庭の佇まい。2022/08/28

booklight

18
叱られ記。エッセイとは、どんな題材を扱ったとしても、その人自身の人生観に魅力がなければ、なかなか読み進むことができない。そういう意味で気持ちのいい人柄の青木玉さんの、澄んだ空気をまとったような世界観は、幸田露伴、幸田文という有名作家への興味を超えて、読んでいて楽しかった。しつけという名での、持つものから持たざる者への容赦ない暴力には気分が悪くなるが、露伴や文に孫や子としてのできの悪さをすまながるのは、戦前・戦中の価値観と感じる。古い時代を玉さんの感覚を通してしみじみ味わうことができた。2018/11/29

coco.

17
祖父に幸田露伴、母は幸田文と文学的系譜で繋がる青木玉の随筆集。人生の節目である祖父の死、母の死も書かれ、それだけでも文芸史として貴重な価値を持つ。露伴の躾の厳しさは、有名だと知っていたが、これ程とは思ってもいなかった。聞こえ良く言えば頑固親父だが、平成育ちの私から見るとそれだけでは済まされない行動が目立つ。母娘共々耐え忍んできた日々は、一歩下がりつつも芯の強い日本女性像と重なる。こうして本という形で残してくれた事に感謝したい。季節の移ろいを愛した母譲りの控え目で奥ゆかしい文章が、とにかく美しかった。2015/07/01

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