内容説明
天下の名優の女房が綴る、愛と、意地と、気骨の半生。“こんちきしょう”と耐えてこそ、明治女の花開く。
目次
6代目菊五郎とともに
芸者“君太郎”時代
私の人生を変えた男
揺れ動く心
わが子をとられて
スパルタ女房教育
関東大震災と大杉栄
菊五郎の満州日記
北京あれこれアベック旅行
梨園の内側
6代目の意地と誇り
いじめ礼讃
役者根性
やりくり算段は女房の務め
まだ死んじゃいねえよ
“こんちきしょう”で生きてきた
養子・亡き大川橋蔵の恋
老いを美しく
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まめはち
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忍耐強さく気っ風の良い明治生まれの一代記。とはいうものの、妻の立場から記述した六代目の伝記でもある。例えば、大杉栄と六代目が築地小学校の同級生で大杉は頭の良い自慢の同級生。関東大震災では芝の本宅を竹橋に駐留していた連隊に提供したところ、憲兵隊麹町分隊長の甘粕正彦大尉も泊った。その半年後に大杉は甘粕に殺される。昭和17年に芸能使節として満州を訪れた時には満洲映画の理事長となっていた甘粕に再会。昔の同級生を奪った人物なので心の中では苦い思いのある相手でも不思議な縁があるもの。歴史の教科書にはない裏話。2015/06/12