内容説明
岡倉天心を師と仰ぎ、師の理想と精神を継承して日本画の近代化に苦闘した横山大観。明治・大正・昭和の三代に亘り侠骨の画人と謳われた巨人・大観の波瀾の生涯を、東京美術学校日本画科卒の経歴を持ちながら、絵を捨て文学に転じた著者が、渾身の力を傾注し書き綴った大観伝。多彩な資料を駆使し、大観の内面を掘りさげ、苦闘の内実を鮮やかに描出。著者の新生面を拓いた画期的評伝。
著者等紹介
近藤啓太郎[コンドウケイタロウ]
1920年生まれ。1938年東京美術学校(現芸術大学)日本画科予科一年に入学。1939年4月、本科に進級。1956年「海人舟」により第三五回芥川賞。2002年2月1日、死去
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感想・レビュー
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アメヲトコ
2
西洋画と対峙し、日本画の近代化に苦闘した横山大観の生涯を、師である岡倉天心やライバル菱田春草らとの関係を織り交ぜながら描いた長編評伝。著者自身が日本画を志した経歴があるためか、当時の日本画界の問題が非常に明快に描かれています。また単純な図式化を極力排し、大観の矛盾に満ちた人間像に迫っているところにも好感。力作です。2016/02/23
Splash
1
安達美術館で大観の絵を見て、大観のことを知りたくなった。芸術家は名誉とかには淡々としているのかと思ったら、大間違い。大観は、負けず嫌いで、強い権力志向の持ち主。芸術家は実は人1倍認められたがっているようだ。文展と院展の対立も、芸術家のかたくなな一面と、権力志向を表しているように思う。2017/05/21