内容説明
近代文学を代表する評論家中村光夫と作家三島由紀夫が小説・戯曲・評論の各分野に亘り対談。「近代的自我について」「小説を書くということ」「文学者の死について」等をテーマに拮抗させ、はぎれのよい対話を展開、文学の魅力を縦横に語る。死へと傾斜してゆく三島を静かに予感させる話が随所に埋め込まれた興味深い対談集。
目次
文学への志
市民と芸術家
ヒーローの出現について
小説のリアリティーとヒーロー
時代の風というもの
現実と仮構
エロティックということ
虚無と実体
川端文学の「処女」
文学者の陰と陽〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
25
対談集なのに深い。じっくり読み直すために購入するかもしれん。中村光夫はほぼ聞き役で、三島由紀夫がかなり本音をもらしているところが興味深い。過去のあるいは同時代の作家に対する辛辣な評価は、えぇ~っ!そこまで言うてええのん!?というものから、う~む本質を突いておるわいと納得させられるものまであって、楽しめる。とりわけ文学観や人間観についてさまざまな角度から、対談を進めているので、やはり購入して何度も読み直すべきだらふ。2017/01/11
ぼぶたろう
8
大変興味深い!!小説と記録の違いとは、物語の必要性などなど、難解でしたが、ほんとに面白かった。豊饒の海のラストの解釈に繋がる内容もあったりして。もっとたくさん本を読もうと、改めて思いました。余談ですが、昔の文士が『〜かしら』とか『〜わよね』とか言うの、妙に萌えます。(笑)2016/12/01
しょこ
3
「青の時代」を読んで、こんなにも純粋な作家がいたのかと衝撃を受けたけど、この対談を読んで彼の純粋さを更に深く感じることができた。結局、彼の人生はこの純粋さを守り続けるための闘いだったんじゃないかな。 その純粋さは自分に対してはもちろん、文学に対してもそうだった。「文学の栄光というのはなにか賤しくていやなんだ。栄光は栄光でとっておきたいし、文学は文学でとっておきたい。それがぼくのやみがたい二元論なんだ。どうしてもそれでやりたい。」2012/03/17
ピラックマ
1
かみ合ってるなぁ、読みやすくスリリング。やっぱ三島って凄いんだな。 「文学者は生きていて自分の作品行動自体を行動化しようというのは無理だね。ぼくはそういうことをずいぶんいろいろ試みてきたけど、ただ漫画になるばかりで、何をやってもだめですよ。」 そして彼は漫画のまま走り抜けた・・・2012/06/04
manmachine
0
打てば響く、至高の対談。2009/01/19