講談社文芸文庫
戦後短篇小説再発見〈9〉政治と革命

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  • サイズ 文庫判/ページ数 286p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061982697
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0193

内容説明

時代の転回点で激しく噴出するエネルギー。状況の変革を求めて行動する人間の苦悩と抵抗を照射する十二篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kasim

36
苦手意識があって避けてきたテーマ。直接的に安保闘争や学生運動を扱ったものもあるが、より間接的で普遍的なものも入っている。再読だが林房雄「四つの文字」はやはりすごく、古井由吉「先導獣の話」は「朝の群集の静けさ」を切り口に都市生活の疎外を見つめ、高橋和己のピリッとしたSF風の掌編「革命の化石」はフォースターの短篇を思わせる。2019/06/16

メタボン

31
☆☆☆ そのテーマからか、難解な作品が多かった。その中でも印象的だったのは、デモで失明してしまう女子学生の病床での思想を綴る「倉橋由美子・死んだ眼」、背の小さい男が婚約の夢を見ながらトラックでデモに突き進む「桐山襲・リトゥル・ペク」、労働者闘争を煽動する女の寝姿に少女性を見る「田中英光・少女」。「開高健・玉、砕ける」は、題名から想像していた「玉」とは全く違っていたのが面白かった。2022/06/07

踊る猫

11
「戦後」の、主に朝鮮/韓国との屈折した関係や学生運動を扱ったものが本書には収められている。好みの問題で言えば古井由吉「先導獣の話」が良い。既読だったのだけれど、この作品を「政治と革命」という角度から読んだことはなかったので、いつもながらシャープな井口時男氏の解説を読み唸らされてしまったのだ。あとは初読みである高橋和巳が意外な(やや堅苦しいけれど)スパイスの効いたショートショートを残しており、こういう機会でなければ読めなかったと感謝している。結構ヴァラエティに富んでおり、その分合わなかった作品もあったが良い2016/08/18

フクロウ

4
高い見識を持ち、自身が仕えている南京政府がいずれ立ち行かなくなることは理解しつつ、しかしそれを止めるでもなく、自身の享楽のために200人の学生の虐殺をはじめ数えきれない悪事を働き、日本の敗戦の翌日に自殺した大臣が、自身を学びにきた林房雄に見せた扁額が「我学者死」なわけだから、直接には「ワシのようにはなるな(良くない死に方をするぞ)」という警句であり、間接には「ではどういう生き方か?」といえばそれは「他者の不当な犠牲の上に自身が豪勢な生活をする」ことであり、エピキュリアニズムが嫌う酒池肉林のことであろう。2023/08/05

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