内容説明
十四世紀イタリアのフィレンツェでペストが猛威をふるった時、七人の淑女と三人の紳士が森の館に避難し、毎日交代で面白い物語を話して聞かせることになった。―イタリア・ルネサンス期の巨人が残した世界文学史上不滅の古典に新たな生命を吹きこむ苦心の訳業。本巻には前半の第五日第七話までを収録(第三日、第四日は省略)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
20
『デカメロン』の作者ボッカッチョは、一三一三年、フィレンツェで生まれ、三十五歳のときに黒死病(ペスト)の猛威を目の当たりにしたのを契機に『デカメロン』の構想を練り始めます。七人の貴婦人と三人の紳士が屋敷にこもり、お題に沿った話を各々が語っていく、という作品です。ペストにより踏みにじられた人間の尊厳を取り戻そうという決意からか、苦難の末、幸せを掴む話が多かったです。下巻へ続きます。2016/12/17
ふくろう
5
中世暗黒ヨーロッパ版の百物語。イギリスの『カンタベリー物語』は本作を参考にした同系統の物語だが、こちらの方はさすがイタリア、恋とアッモーレに全力でうつつを抜かすさまがいっそ清々しい。腐り切ったカトリックの修道士や、不倫も自由恋愛もなんのそので押しとおすことが、中世ヨーロッパで受け入れられたことにむしろ驚いた。それほど、彼らは天国や神の恩寵を信じられなくなっていたのかもしれない。登場人物は皆、ペストの地獄から逃れてきた人々で、その脳髄には、腐りゆく死体の山と腐臭が焼きついていた。2014/07/02
ゆきのすけ
5
第五日—第四話、これ笑って良いんですよね笑 聞き終えた夫人方も笑ってるということは、こういうのは当時下品とか恥ずべきこと、のようには思われていなかったのかな? 第二日―第十話も男性としての力がなければ夫の意味がないって評価が面白かった。リッカルド卿は「辛うじて命をつないでいる男のようにしか見え」ないほどの体力のなさで、妻との夜を過ごした後は「極上の葡萄酒や強壮剤、その他ありとあらゆるこの世の手段で、精力を回復しなければ」ならない。新婚当初からこれじゃちょっと…。笑2011/05/27
ダナヲ
4
4人に1人が死んだ(当時のヨーロッパの総人口が一億人、うち2500万人が亡くなった)というあのペスト禍の惨劇の直後にこんなに生命力溢れる物語を作ったと思うとすごい。路傍に屍体が折り重なる地獄のような環境の中で書かれたものとは到底思えません!ふてぶてしいまでに強靭で呆れるほど健康な欲望と意思、さすがイタリアさんやで。2012/05/18
秋良
2
世界史に詳しいともっと楽しめたかも。今も昔も、みんな、下ネタ好きなんじゃーん!とつっこまずにはいられない。夜鳴き鶯つかまえたまま寝てるとこ親に見られるって、死ねるわ。2013/08/25