内容説明
明の太祖朱元璋を継いだ太祖の嫡孫建文帝と、帝位を簒奪して三代皇帝となった建文帝の叔父永楽帝との覇権を巡る争い、敗れて僧となり雲南の地をさまよう建文帝の姿を、雄大な叙事詩調で描いた傑作「運命」、宋朝以降、元、明、清の時代の美しい詩詞をちりばめた歌物語風小品十三篇から成る「幽情記」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
3
評価不明 この作品の読み手として、自分がD評価であることしか分からなかった。漢文体で書かれているため文意が掴みにくく、また中国の歴史・漢詩の知識も無いため、文脈を補うこともできない。完敗。時間をかけ、一文一文をじっくり読まないことには… 解説の「気取りや気負いだけで、文学の魅力が感じ取られるわけはない」という言葉が鋭く突き刺さる。この作品を、自宅の書斎で数多の資料を片手にじっくり読む研究者に、もしくは、なにも参照せずともすっきりと理解できる、そんな読書人に、わたしはなりたい。2012/03/06
eckhart88
1
A+:運命は文章のひとつの理想、叙事的文体、歴史的題材を扱った漢文脈の散文としての高度な達成。あまりの影響力に、昔小説を書いたときになんとなく使った用字用語を改めて調べたら全部この本から影響を受けていたということがあった。幽情記は佳品、この二つがセットになっているんだから贅沢だ、噛み締めるように読了。二十代前半の何事にも鬱屈としていた当時の心持ちが思い出される。
sugsyu
1
意味と取るとなると一文一文、崖をよじ登るような手強さだが、音や漢字の形態に同調して読み返してみると、意外に快く読み進められる。中国文学の本邦特異の受容、一時代の徒花として、この魅力が忘れられていくのは惜しい。2020/06/14
てら
1
ああ漢字のある国でよかったとしか言いようのない名作。高島なにがしというエセ学者が近年この作品にケチをつけたそうだが、なに、露伴の価値は少しも減りはしないのである。これだけの格調と親しみやすさを兼ね備えた文豪は他にいない。
湯豆腐
0
漢字のトーテムポール。 https://yudoufu.hatenablog.com/entry/2021/10/21/1527292021/10/19