出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
1108
名作ミステリとしてよく名前のでる作品。短くて読みやすい作品であるが一発勝負の大きな仕掛けが施されている。作中人物の対応が色々な面でさっぱりしすぎている感はあるが、それも含めて世界観として上手く纏まっている。無くてもいいくだりも多いように感じるが、小説として面白くなるギリギリのラインのものは詰め込んだという事か。最近の新本格ミステリの叙述トリックのようなどんでん返しではないので、人によってはあまり驚きが無いかもしれないが、シンプル&ソリッドであり、肩の力も入れすぎないで楽しめる良作だった。2016/11/22
Tetchy
875
よくよく考えるとこの真相にはちょっと無理も感じずに入られない。24時間、2日間も一つの館の中というシチュエーションを考えた時にこうも上手く事が運ぶだろうかという素朴な疑問だ。その辺をちらりと匂わせるような描写がまたあれば更にこの作品はより現実味を増しただろう。まあ、それは瑕疵に過ぎないし、ミステリにどこまでリアルさを求めるかは個人の物差しによる。正に「嵐の山荘物東野風変奏曲」とも云えるこの作品。終わった後、時が経つにつれてその面白みがしみじみと感じられたし、ここは素直に作者の入念な企みに拍手を贈ろう。2010/04/25
ヴェネツィア
869
東野圭吾のミステリーの多くは、いわば社会派ミステリーと呼ぶべきものである。ミステリーを通じて社会の暗部を描く松本清張のそれとは意味を異にするが、それでも東野圭吾のものもスキー場であれ、ホテルであれ、社会との繋がりの中に成立するものが多い。ところが、本作はこれ自体で完結する、いわば劇場型のミステリーである点に特徴を持つ。全体の構造上のトリックはほぼ最初からわかるが、細部は夾雑物に邪魔されるために推理が困難である。そして、それはひとえに叙述トリックの故である。私はどうにも叙述トリックの持つズルさに馴染めない。2021/11/09
Kircheis
700
★★★★★ 我孫子武丸さん原作のゲーム『かまいたちの夜』のサイドストーリーにありそうな展開とオチ。 本格推理の定義からは外れるんだろうけど…最後笑かされた(^◇^;) 何とも『スティング』的などんでん返しでお見事! 伸彦の捨てゼリフ「残念ながら、君の部屋は無いよ」が大好き(笑)2019/02/12
zero1
580
人は誰も仮面を被っている?閉ざされた環境で女性の事故死を追及する。会社社長の山荘に8人が集まった。そこに二人の銀行強盗が来て、やがて事件が…停電やSOSは何故妨害されたのか。8人の中に強盗犯の密偵がいる?「仮面病棟」がきっかけで読んでみた(後述)。読んでいて連想したのがアガサ・クリスティの名作。題名を書くとネタバレになるので書かないが、東野が影響を受けているのは間違いない。あり得ない話なんだけど、それでも読ませるのが東野の偉大さ。古いが興味深く読めた。人気作家を過去の作品で追うのは楽しい。今年舞台化。2019/11/07