講談社文庫<br> 侠骨記

講談社文庫
侠骨記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 266p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061856004
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

文化は一級ながら軍事は二級の大国魯の書生曹カイは、隣国斉との戦気が激しくなる中、若き英王同に見出され、軍略の才を存分に発揮する。智謀の賢相管仲が牛耳る斉との、和戦両様の闘いが大詰めをむかえた柯の盟約の場で、曹カイがとった驚くべき策。君臣のあり方と政治の、理想を描く、中国歴史小説集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

85
魯の曹カイ,帝舜,周王朝建国の功労者召公,秦の宰相百里奚を描いた短編集。ある程度、中国古代史に関して、知識がないと 読み解くのは難しいと思う。個々の話は面白いのだが、残念なことに背景の時代へのマッピングができない。 2010/06/12

ふじさん

47
侠骨とは、「我が身を惜しまず、人の難儀を救い、生死の境を渡っても、才能を自慢せず、施した恩を誇るの恥とする者」の気骨・人格をいう。まさにこれを体現した4人を主人公にしたのがこの作品だ。それぞれの人物は個性豊かで中国の歴史を動かした人物としては、生き方に気負いがなく飄々とした仁の人たちだ。短編で内容が凝縮していて読みやすく人物にも親しみを覚えた。 2020/05/30

キジネコ

34
管仲の法治の理想を武器に覇の道をいく斉王小白の膝下、併呑の憂目の小国魯の主従が胸裏に意地と誇りの刃を抱いて膝行する。度の過ぎた大国の脅迫に抗し、命を捨てる覚悟のできた曹劌のとった奇策を一の主従の物語で。神に選ばれた兄俊は天と語らい、凡庸の異母弟象は兄を殺して王になる夢想に耽る、やがて抗し難き兄と神意の大度、治国の「愛」を知る兄弟の物語を二に。大国の主が交わした約定に背かず例え自国の全てを失ったとしても守り貫くと誓った召公奭の自尊の物語を三。管仲に嫉妬させた漢、百里奚が帝国の道を歩み始めた秦を創る。続きます2016/04/22

春風

17
各短編はそれぞれ、曹劌、舜帝、召公奭、百里奚を主人公に据える。各々が抱く理想の政治を胸に陰に陽に運動し、それが本人達の意思を超えて実を結んでいく。出色は、百里奚を描いた『買われた宰相』。百里奚は100歳を超える長寿を全うした人だそうだが、歳を経る毎に人間に深さが増していき、短編とは思えぬ重厚感がある。作品は全て古代中国のものだが、解説にあるように、表意文字としての甲骨文や金文から、宮城谷氏に想像されたものが作品に反映されているようである。2016/02/16

高橋 橘苑

15
宮城谷昌光氏の作品を初めて手に取ってみた。筆者はあとがきで、甲骨文字や金文からの連想で、古代の人々が動き出す不思議さを目撃したと言っているが、そういえば、情景描写的なスタイルで書かれている。解説を読まずとも、筆者の理想とする仁人が奈辺にあるか理解できるが、個人的には胸を打つ様なひっかかりは感じ無かった。ただこれは、短編でもあるし、その様な手法を敢えてしているのかもしれない。4編の中では、表題作の「侠骨記」がもっとも印象に残った。筆者の目撃した情景が鮮明だったんだろうか。2014/04/25

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