内容説明
都の西北にある大学の新聞学科に入学した山木信子は、新しい大学新聞の創刊を志す男子学生たちに交じってキャンパスの周辺で新聞作りに励み始めた。蔦の緑濃くなる頃、初恋に心揺らぎ、悩みながらも信子はひたむきな学園生活を送る。60年代の青春群像を描いて今に甦る、早世した作家の自伝的長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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忘れられた作家、干刈あがたさん。芥川賞候補作をいくつかもっていながらも。25年前当時、同世代の女性の共感を多く得たそうな。男の大学生活を描いた小説の代表が「青が散る」なら、女の場合はこの作品なんじゃないかと思った。主人公の性別性格生活の逼迫度がだいぶ異なるから話の流れは違うけど。女子学生がまだ稀有な存在だった、東京オリンピック前後。学生運動時のきな臭さは勿論、戦後の名残がまだまだあった時代。女性の社会進出。最後、化粧をしてハイヒールを鳴らし、会社へと颯爽と歩いていく主人公の姿は逞しい。2013/05/29
snana
1
大好きな本。干刈さんが亡くなった時は悲しかったな。 生きていると、私はもうダメなんじゃないかなんて思う瞬間がある。ポキっと心が折れたわけではないけれど、もう頑張れない時に この本はすこし元気をくれる。私は誰のものでもない。自分で生きていくんだと思い出させてくれる。