出版社内容情報
法月 綸太郎[ノリヅキ リンタロウ]
著・文・その他
内容説明
誇り高い美女からの招待で信州の山荘に出かけた法月警視だが、招待客が一堂に会したその夜、美女が殺される。建物の周囲は雪一色、そして彼女がいたはずの離れまで、犯人らしい人物の足跡もついていないのだ。この奇怪な密室殺人の謎に法月警視の息子綸太郎が挑戦する。出色本格推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
282
法月綸太郎さんの第2作は海外の名探偵エラリー・クイーンに倣って著者名が同じで作家探偵・父親が警察官という全く同じ形式のシリーズ第1作ですね。この作品はデビュー作と作風がガラリと変わっていまして同じ作家とは思えない程ですが、強いて共通点を上げればトリックの完成度が高く全く危なげのない完璧主義者の職人的な所と、初期のさだまさしさんもそうなのですが題名を漢字のみで統一する意図を感じましたね。またJ・D・カーの「白い僧院の殺人」の雪の足跡トリックへの挑戦とクイーンの十八番「読者への挑戦」もあって素晴らしいですね。2022/05/22
🐾Yoko Omoto🐾
118
再読。「本格ミステリ」の王道をいく非常にオーソドックスな構成。斬新さはなくとも奇をてらわない端正なロジックはストレートな本格志向の高さが窺え、「読者への挑戦」を絡めた良質のフーダニット作品として美しく成立している。密室についても目を見張るトリックではなくとも「その手があるか」と思わされる納得の出来。ただ法月警視相手のある危うい仕掛けと冒頭のベタさにはやや不満が残った。とは言え、まだ悩んでいない綸太郎(笑)や父との名コンビぶり、果ては二人の親子関係についての意味深な記述などシリーズとしての読みどころが多い。2014/06/07
Tetchy
85
探偵法月綸太郎初登場だけど、意外にオーソドックス。もう少し捻りが欲しかった。2009/01/09
ダイ@2019.11.2~一時休止
82
法月綸太郎その1。EQを意識した?作者名と同一の探偵が活躍する。王道の展開がイイ。2013/09/23
HANA
65
題名からわかるように、雪で封じられた密室を題材にしたミステリ。基本的なトリックがそれ一本のため、長編にすると何となく喰い足りなさを感じるなあ。それぞれの登場人物に深みを与える前に事件が起きた為一人一人の印象が薄く、唐突に事件の最中に巻き込まれ何となく表面を撫でているような感じがするし。デビュー作よりはましだけど、まだ後年の著者に比べると若書きという感じがする。肝心のトリックだけどこちらはわからなかったなあ。この手の密室に多いタイプではなく、読者の盲点を突くタイプで面白かったけど不確実性要素が多い気もする。2022/05/09