内容説明
“8の字形の屋敷”ゆえに案出された、不可解極まる連続殺人。速水警部補と推理マニアの彼の弟&妹の3人組が挑戦するが、真相は二転三転また逆転―。鬼才島田荘司氏に“本格ミステリー宣言”を書かしめた、二人目の大型新人の本格的にして異色、かつ絶妙のユーモアで味付けした傑作長編推理デビュー作。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
297
我孫子武丸さんのユーモア本格推理長編デビュー作です。本書は時代に関係なく読み返せる傑作だと思います。唯ミステリの趣向が一筋縄ではいかない凝りに凝って捻り過ぎとも思えるマニアックさな点とユーモアが過剰な点が真剣さを望む読者にマイナスの印象を与えかねない懸念がありそうに思えます。でも、過去に海外ミステリーを読んで来た方、赤川次郎さんの作品が好きな方は確実に楽しめるでしょう。ミステリの骨格はしっかりしていますし悲壮感を感じさせず常に陽気な感覚で読める点が素晴らしく巧妙なトリックと騙しのテクニックも一級品ですよ。2022/04/27
ダイ@2019.11.2~一時休止
93
速水三兄妹その1。トリックは王道で、キャラがイイ。2013/09/06
Tetchy
85
デビュー当時、他の新本格作家三人(綾辻氏、法月氏、歌野氏)と比べて格段にユーモアテイストに溢れているのに驚いた。内容はごくオーソドックスな本格で、犯人は容易に解るでしょう。でも速見三兄妹ほど似てない兄妹も珍しいな。2008/11/19
nobby
64
何と言うかコミカルだけど、きちんと本格ミステリー。『殺戮にいたる病』と同作者の物とは思えないライトな作品(笑)蜂でなくて8の字を形取った屋敷で起こる殺人、途中度々平面図が登場し脳内での整理はしやすい。ただ、あまり洋書の古典ミステリに馴染みの薄い自分には作品名挙げての推理の描写は響かず残念…密室講義なる物もちょっと堅苦しく読んだ。探偵役となる三兄妹のやり取り、そして不幸の骨頂な木下君の描写は楽しめる。2015/02/21
ジャムうどん@アカウント移動してごはんになります
62
登場人物たちの掛け合いが最高です。殺人事件という背景でありながらも、不謹慎と思いつつにやけてしまうというか…、木下刑事大好き(笑)「8」の形をした屋敷で起こった殺人。犯人と思われる青年が逮捕されるが、口のきけないご令嬢が彼が犯人ではないと訴える。キュンとなってしまった速水警部補が解決に向けて奔走していく…。作中で多くの古典的名作が紹介されていることからも分かる通り、伝統を踏襲した造り。真新しさは感じないものの、「これぞ」といった感じがたまりません。0の殺人はさらに評判が良さそう。探してこなくては^^2016/03/17