出版社内容情報
【内容紹介】
中原の覇者たらんとして、諸国の王たちは虎視眈眈。強大国、弱小国それぞれの立場で権謀術数の限りが尽くされる。非情で酷薄なこの時代には、骨肉の情すら許されない。そして王たちの政治学の拠りどころとなる諸子百家がにぎにぎしく登場するが、彼らの運命も時勢に翻弄される!乱世最高潮の巻。(全3冊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
8
春秋時代、黄河流域の中原に周の臣下太公望の興した斉、鄭の武王、晋の荘王の覇権争は覇権Spritが周朝の九州の鼎にあると思い込み、弱体化した周をそれでもその威光を頂く覇王たらんと諸侯を意図的に巻き込むものだった。やがて揚子江流域の蛮族と蔑まされていた氏族が国力をつけ、中原世界を憧れる覇権紛争の時代に入っていく。楚は長江下流の呉と争い、福建省付近に力を付けてきた越氏族もこれに加わる。嘗ての覇権争奪と異なり臣の深淵な策謀が雌雄を決するまでの世に成長していた。2022/05/11
のんたん
4
晋の文公と呉の伍子胥の話がメイン。伍子胥は、復讐心に燃える鬼という激しさよりも、有能な宰相としての手腕が淡々と書かれていて、他とは印象が違う感じがした。中国史で一番好きな春秋時代もそろそろ終わり、下巻ではいよいよ戦国時代へ。2015/04/12
Chocolat
3
重耳から春秋時代の終わりまで。宮城谷版の管仲とか重耳とかを読むと上に上がるまでを描いているが、この本では何をしたかが中心になっている。それでも重耳や伍子胥、孫武は割かれているページも多く、やはりこの辺がスターなんだなと思う。さあ覇王の時代が終わった。次は秦だ。2017/01/04
kazu
3
周王朝の諸侯が勝手気ままに振る舞う中、彼らを取りまとめる覇王というものが誕生。それも時代が進むにつれ、権力が徐々に有能な家臣に移っていく。 中巻は晋の重耳や呉の伍子胥、臥薪嘗胆で有名な呉越の争いなど、有名どころの話なので大変おもしろい。2016/09/13
faux-stendhalien
3
68点。中巻で描かれるのは、紀元前7世紀の斉桓公の時代から、孔子らが登場する紀元前5世紀頃まで。長い放浪を経て62歳にして晋の玉座についた重耳。「絶纓の会」で名高い楚荘王。「臥薪嘗胆」の元となった呉の夫差と越の勾践。中国四大美女の西施など、名前は聞いたことある、って人たちがズラリ登場する。一人を題材に長編小説が書かれているほど劇的な逸話に富む人物たちを一冊の中で紹介しているのは魅力だが、それらがあまりにも短くまとめられている上、それぞれ別の国の話なので一章ずつがバラバラに感じられてしまうのが残念かな。2013/02/06