内容説明
英語教科書でおなじみのジャックとベティが五十歳で再会したとき、いかなる会話が交されたか?珍無類の苦い爆笑、知的きわまるバカバカしさで全く新しい小説の楽しみを創りあげた奇才の粒ぞろいの短篇集。ワープロやTVコマーシャル、洋画に時代劇…。身近な世界が突然笑いの舞台に。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kana
30
どれも入れ物や型が前提としてあって、その上に独自の世界観が広がっていて、時についていけなくなるくらいの奇抜な着想の宝庫。とにかくあのジャックとベティのその後が気になる方、表題作は一読の価値があります。読後感はよくないですが。《「あなたのお父さんは元気ですか」「いいえ、彼は死にました」》《「あなたは結婚していますか」「かつて私は結婚していました。」(略)「あなたは離婚しましたか」「はい、私は離婚しました。人工授精をして代理母に産んでもらった子供を裁判で取り上げられて以来、私たちはうまくいかなくなりました」》2023/09/17
茉莉花
30
「永遠のジャック&ベティ」面白かったです!最初、電車の中で読もうかと思ったのですが、あまりにも面白くて何度も噴き出したので、これは外で読んだらまずいなと思いました!最初、タイトルを見てアメリカ作家が書いた作品かと思いました。だって表紙がそれっぽい笑。 あと、「ナサニエルとフローレッタ」という作品の映画のパンフレットが面白かったです!よくもまぁ、こんな奇怪でファンタスティックな作品が書けること・・・素敵だと思います。とにかく「永遠のジャック&ベティ」はユーモアいっぱいで読んでて幸せになるのでオススメです!2016/03/06
ちさと
28
知的でバカバカしいストーリーをいろんな切り口で楽しませてくれる短編集。表題作「永遠のジャック&ベティ」は英語教科書の例文に登場する2人が、50歳で再会した場面の会話を描いています。独特の会話法が笑える。パロディって原作を知っているか、いかに思い入れがあるかによって楽しさが左右される部分もおおきいので、読む人によってそれぞれのお話の楽しさ度合いはかなり違うかも。「インパクトの瞬間」「冴子」がもうどうしようもなくて大好き。2019/01/06
しらぞう
24
表題作は期待どおりの面白さ。「あなたはペンを持っていますか」とか言う局面は現実に有り得ないけど、日本人中学生が分かる単語や構文で、文章を書くのはすごく難しい。思春期の男女に読ませるから、男女関係につながる例文にもできないし。他に面白かったのは、老人が息子の嫁に欲情する「冴子」。これは男なら分かるわ~。妄想だけなら他人に迷惑をかけないが、どこで妄想で止められるか。簡単に止められるようなものなら、楽しくないわけだし。自覚しないと危ないです。2019/03/16
kakoboo
23
作家さんにはそれぞれ文体があると思いますが、この人は決まった文体を持たず、でもどの作品も綺麗にまとめあげる力があるのだと感じました。しかしそのまとまりかたがあまりにも綺麗すぎて、無機質に読み進めてしまいました。淡々と読み進めて読み終えた後に、一言ぽつりと「面白いね、これ」と呟く、そんな感じです。勿論これは悪いことではなく「そういう感じ方だ」ということです。敢えて好きか、大好きかと問うならば大好きです。この作家さん。はい。2016/01/01