内容説明
遠い昔、愛に渇き、病に苦しみ、夫に裏切られ、子を失い、人をネタンだ女たちが、人生の途上、イエスに出会った…。イエスはその時どうされたか。人間の夢、歎き、祈りのこもった出会の物語を、名画を通し、現代の光をあて、昔を今に甦らせる感動のエッセイ。マリア、マルタ、サロメもあなたの中にいます。
目次
マグダラのマリア
サロメ
イエスと娼婦と
姦通の女
マルタとマリアの姉妹
ベタニヤのマリア
かくれ切支丹のマリア
聖母マリア
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
94
聖書に出てくる女性についてのエッセイこの本を読んで、ずっと以前に年上の憧れの女性に「恋愛とは何ですか」とたずねたことを思い出した。その女性の答えは「命を賭けるもの」だった。全身全霊で男性を愛してもそれに応える男が見つからなかったのでマグダラのマリアは男性を遍歴したと言う遠藤さんの見方は的を得ていると思う。神格化するつもりはないのだが、女性の愛し方は神の愛に意外に近いのかもしれない。イエスはどうしようもない人間を命がけで愛した方だった。女性の命がけの愛を一番よく理解したのがイエスだったと思わせてくれる好著。2013/12/26
たかしくん。
28
日本における、かくれ切支丹のマリアの存在意義の部分が、面白かったですね。著者曰く、「聖母信仰という信仰を通して彼等の死んだ母親や祖母たちを拝んでいたのではないか」、いわゆる、「おっかさん信仰」説は、新鮮かつ同感しました。2014/12/28
金吾
17
○遠藤さんらしい軽快な書きぶりで一気に読めてしまいます。全体的に良かったですが、特に女性の信徒の方がイエスへの忠誠心が高いように思える話と日本のマリア信仰の背景にはおっ母さんがあるのではという話は面白かったです。またところどころの絵画も良かったです。2021/12/25
ゆうゆう
5
マグダラのマリア、サロメ、ベタニヤのマルタとマリヤイエスと出会った女性たち…日本のマリア信仰は「おっ母さん」信仰はなる程と思った。鎖国して禁教になったら正規品は入ってこない、当初の設定が、想像してこうであって欲しいという希望をうけて、母の大きな優しさ癒やし、「自分たちの弱さを理解してくれ、それを許してくれ、時には共に苦しんでくれる優しい母の宗教を求める」とても日本的でわかりやすい。沈黙は、映画の前に予習したい。2016/12/03
belier
4
イエスの周りにいた女性の話とその女性をテーマにした絵画に紹介。今まで読んだ本と内容は変わらず。遠藤のキリスト教観の手っ取り早く知るにはいい本だろう。ただ実を言うと、遠藤の女性観には違和感を覚えている。たぶん時代が変わったせいだと思う。2024/02/09