内容説明
日本から遣隋使を迎えた隋の時代を経て、花開く唐時代へと時は流れる。長安に優雅な宮廷の楽がひびき、宮女の脂粉香がたちこめる。しかし盛衰は世の常、唐もまた兵乱の末、次なる宋へ…。激しい政争、権力争奪劇―滔々たる歴史の流れを、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。
目次
隋唐の興亡(幸運を信じた男;瓦解の日々;長安への道;迷楼記;群雄図;太宗李世民;貞観の実像;家庭の事情;余震;脂粉消ゆ;花におう長安;散り行く花)
宋とその周辺(遣唐使始末;党争と廃仏;兵乱と民乱;天下大乱;唐滅ぶ;五代暼見;詞の華;宋の創業;〓渕の盟をめぐって;新法の波紋;文人の系譜;民怨のはて;万水千山)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
66
短期政権だった隋とその隋の制度を引き継いだ長期政権の唐。日本でも「遣隋使」や「遣唐使」と中国と交流を深めたこの時代。そういえば平城京がモデルにもなったのもこの都。当時の日本は中国に影響を受けていろんなものが吸収されていった。日本のこの時代を愛する私にとっても唯一中国史の中でも得意な時代。その後その得意な時代が滅んで短期政権が入れ替わる五代十国時代を経て宋の時代へ。宋といえば「水滸伝」を思い出す。長期政権と短期政権を繰り返しながら進む中国史。何だかようやく得意な時代や馴染みの時代に入ってきた。2016/01/06
Akihiro Nishio
11
本巻は随の成立から北宋の滅亡まで。名君と誉れ高い唐の李世民と、宋の建国者である趙匡胤の登場である。宋は水滸伝の影響で駄目な国の印象が強かったが、創始者から続く寛容の精神が素晴らしい。しかし、その宋を持ってしてもすぐに腐敗と人民から搾取の時代へと変貌してしまい、版図の北半分を失ってしまう。中国での政治は本当に難しい。あと、印象に残ったのは、仏教の国家への貢献の少なさ。国家鎮護の役割を当初から打ち出していた日本の仏教と全く違う。日本では、その長い国家鎮護仏教の歴史があって、民衆救済の仏教が出現したのだろう。2016/03/27
ten304
5
唐以後の分裂期を経て、ついに宋王朝が興る。前に混沌とした時代を見てきたせいもあって、趙匡胤がものすごく輝いて見える…。宋にはなんとなく地味な印象があったが、人民に活力が溢れていた魅力的な時代だった。激しい政争の間にあってもお互いを尊敬することを忘れない文人たちに感激。そんな宋もやはり堕落し、新興の金の圧迫を受けて南へ逃れ、これ以後南宋の時代となる。2016/04/27
周公たん
1
隋から唐、五代十国、宋建国を経て北宋の滅亡まで。今まで宋に対してほとんど印象がなかったが、割と安定していて民衆活動が活発な時代だったと知って好印象だった。また、随も唐も北方異民族系の王朝であることには驚いた。宋時代の遼・金、そしてこの先のモンゴルの出現を思うと、中国史における異民族の影響は想像していたよりも大きい。2022/10/12
shouga123
1
隋から宋の終わりまで。唐のあたりで頻繁に歴史は勝ったものの手によって作られると書かれているのが印象に残った2021/02/06