出版社内容情報
【内容紹介】
聖羊祭日にドーナツを食べた呪いの為クリスマスソングが作曲できない羊男は、穴のあいてないねじりドーナツを手に秘密の穴の底におりていきました。暗い穴を抜けるとそこには――。なつかしい羊博士や双子の女の子、ねじけやなんでもなしも登場して、あなたを素敵なクリスマスパーティにご招待します。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
236
村上春樹の作品を順序通り体系的に読んでこなかったし、数も多いので、ここに登場するキャラクターの半分くらいしか馴染みがない。そして、この本は表題通りの季節商品なのだろうか。もし、そうだとすれば、そこにこめられたメッセージは、「(残念ながら世界はそうではないのだが、せめて)羊男世界がいつまでも平和で幸せでありますように」にあるのだろう。ただし、そもそも、この本は、ひとえに村上春樹が佐々木マキとコラボレーションしたかったために造られたのだと言えなくもないようにも思う。ほんとうは、そうなんでしょう?…村上さん。2012/07/15
おしゃべりメガネ
210
今からおよそ20年以上前に読んだ作品です。高校1年の時に村上春樹さんの虜になり、『ノルウェイの森』に始まり、順番は前後しましたが『ダンス・ダンス・ダンス』、『羊3部作』など片っぱしから読んでいました。数多い名作の中でもある意味異色なこの作品は特にインパクトがあり、フツーの絵本なのですが、前述の「羊」シリーズを読んでいると、カバーイラストの「羊男」がよりいっそう身近に感じることができます。村上さん作品で多様されるアイテムのドーナツも美味しそうに描かれ、クリスマスの時期にピッタリで、温かくほのぼのできます。
海猫
207
部屋を整理したら、出てきたので再読してみる。クリスマスという時期ではないけど、内容は面白かった。私が村上春樹を読んできた中でも、かなり最初の方の作品じゃないかな?懐かしい気持ちになったので。お話も文章も素朴ながら、羊男が出会うキャラクターたちがちょっと異様。ねじけ男とか番号の双子とか、ね。佐々木マキの可愛らしくも怪しげなイラストとの相乗効果が、良く出ている。最終的にはハッピーでも切なさの残るエンディングが印象的。村上春樹の本でも、この手の楽に読めるタイプの作品群はホッとする。また他の絵本でも読んで見よう。2020/09/20
夢追人009
182
村上春樹さんと佐々木マキさんのコラボによるメルヘンチックで風変わりなクリスマス絵本です。私は本書の3年前に出た「羊をめぐる冒険」は未読ですので何時か読んで「着ぐるみを着た羊男世界」について詳しく勉強したいと思います。「1973年のピンボール」に登場した208と209のTシャツの双子姉妹との再会が嬉しく、意地悪な家主の奥さん、羊博士と聖羊上人、左右のねじけ兄弟、なんでもなし、海ガラスの奥さん、みんなオモロイ連中で、童話には必須のねじれた残酷さもありましたが全て丸く収まるハッピーエンドが何よりの喜びでしたね。2019/01/13
ムッネニーク
172
93冊目『羊男のクリスマス』(村上春樹/佐々木マキ 著、1989年11月、講談社) 村上春樹流『不思議の国のアリス』。深い穴の底に降りていく、という村上作品ではお馴染みの物語。佐々木マキのイラストが物語を彩る。羊男や双子の女の子など、過去作にも登場したモチーフが再利用されている。100ページほどの短い絵物語なので、村上春樹初心者にもおすすめできる。 「羊ピアノは素晴しい音を出したし、頭には美しいメロディーや楽しいメロディーが次から次へと浮かんできた。」2021/11/08