内容説明
応仁ノ乱で荒れる京都、室町幕府の官吏伊勢氏一門の末席に、伊勢新九郎、後の北条早雲が居た。家伝の鞍作りの明け暮れ、毒にも薬にもならぬ人間で、生涯を事なく送ることが望み、と考えていた新九郎の許に、妹分の美しい娘、千萱が訪ねて来て―。激動する時代と共に自分の生き方を変えてゆく早雲。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はらぺこ
41
北条早雲って何をした人か知らんけど上巻ではまだ何もやってない。もしも上中下じゃなくて1冊やったら丸々カットされてるんちゃうかなと思うぐらい何もやってなかった。ガンダムでいうところの「ククルスドアンの島」みたいなもんかも(笑)2016/03/15
detu
17
マンガで聖書の前に読み終わっていた。先般読んだ北条早雲からの再読。シチュエーションや時系列などが若干違うけど、まあ作家さんそれぞれだし。いよいよ今川家の駿府へ、早雲出世の足がかり。中巻へ2022/12/31
スミノフ
16
戦国時代の火蓋を切って落とした、北条早雲の物語。本書が面白い点は、「1人の天才の特異なストーリー」としてではなく、「社会経済の構造変化が、北条早雲を生んだ」という切り口で描いていることです。農業生産力の高まりを背景として、各地で国人が力をつけ、ボロボロの権威をまとうだけの室町政権を見限り、自立していった・・というストーリーです。まさに、土を耕し、大地に向き合って懸命に生きる草莽から生まれたのが、北条早雲だということが伝わる物語でした。2020/12/02
RED FOX
11
「神や迷信の支配力が薄れ、たとえばイタリアにおける複式簿記の考案ひとつでもわかるように、自他の存在を貨幣という数量で見きわめるようになった」私のヒーロー、北条早雲。あと2冊も楽しみ楽しみ。2020/02/11
出世八五郎
7
徒手空拳で成り上がる伊勢新九郎の資料というのはいかほど存在するのでしょうか?まるでその活躍がナウシカに出てくるユパ様のようで凄すぎる。司馬の作品はダイナミックに主人公が成長して階段を登っていくパターンなのですが、本当のゴールは小田原ではなく公方様牽制だったんでしょ?・・・司馬作品の中では上位の部。