講談社文庫<br> 海も暮れきる

講談社文庫
海も暮れきる

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  • サイズ 文庫判/ページ数 275p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061835337
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

【内容紹介】
さすらいの俳人・尾崎放哉の凄絶な死。
咳をしても1人
之でもう外に動かないでも死なれる
肉がやせて来る太い骨である
いったんはエリートコースを歩みながら、やがて酒に溺れ、美しい妻に別れを告げ流浪の歳月を重ねる。小豆島で悲痛な死を迎える放哉の生涯を鮮烈に描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

37
放哉が暮れきった 人としての41年・・その背後に小豆島遍路宿と人々の優しさがかすむ。放浪の俳人、自由律の詩はあくまでも冴えわたるほどに清冽。だが吉村が描いた作品の中に叫び続けるうらみ節のカタルシス。嗜虐的呟きのオンパレードだ。吉村は恐ろしいまでに客観的に淡々と彼を上から下から斜めから描いている。情感を削ぎおとしたペンの先で放哉が咳込みのたうちまわる。詩は自由に天空を駆け巡るが、人というものは元来自由にはなれない・・・自由の背後にはいくばくかの慟哭を路傍に落とす。男でなく女として、薫の視点で読んでしまった2014/07/28

fseigojp

10
香川県の小豆島の寺男で最後をすごした自由律俳句作者 尾崎放哉の評伝 陽の山頭火、陰の放哉といわれている2015/07/26

JunTHR

7
尾崎放哉の最晩年、小豆島に至り、亡くなるまでの一年足らずの日々を描いているが、その句の凄みと篦棒な生き様がくっきりと伝わってくる。「足のうら洗えば白くなる」。やけに心に残り、この句はもう忘れることはないだろう。 尾崎放哉についてはまったくの未知であったので、その句作と生涯の全体に興味を抱くための抜群の入り口になった。特に放哉とシゲの最期の日々には、心を打たれた。 どの程度が取材により明らかになった事実に基づいているのかも、気になるところだ。2017/04/30

石川さん

5
最初は「尾崎放哉、この駄目人間!」って思うんです。でも、結核が悪化して、その恐怖から酒に溺れ感情が乱れる放哉をみていると、もう涙が止まらないです(嘘、泣いてないけど)。人が生きていくのに、お金も、健康も、そしてプライドも必要なのに、そのすべてを失った哀しさ…。その上での「咳をしてもひとり」「いれものがない両手でうける」。前には『二十四の瞳』をテーマに小豆島に行ったけど、今度は尾崎放哉をテーマに行くのもいいかも。おすすめです!2010/08/09

タイガー@津軽衆

4
通算8冊目、2月3冊目読了。俳人尾崎放哉の最期を書いた小説。尾崎の酒癖の悪さなどなど到底関わりたくないような人なんですが、読んでいると親しみが沸くのは書き手の凄さか…吉村昭が小説を書くために取材していた時に、「よくあんなやつの小説を書くな」と言われたとか。でも書かなくてはいけない理由が吉村にはあったことを最後知った時は感動しました。2018/02/09

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