出版社内容情報
【内容紹介】
土佐22万石の大領を率いる長曾我部盛親は、関ケ原の戦いに敗れ、一介の牢人の身に落ちた。恥多い謫居の中で、戦陣への野望を秘かに育くみ、再起を賭けて、遺臣たちと共に大阪夏ノ陣に立ち上ったが……。大きな器量を持ちながら、乱世の動きにとり残された悲運の武将を、鮮やかに描き出した長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
46
「夏草の賦」の最後の一行に「夏の陣の結果、長曽我部家はあとかたもなくなり、歴史から消えた。」とあったので悲壮感漂う物語かと思っていたら、いきなり登場した土佐の御曹司、盛親は、京都に着きはしゃいでおり、明るい。割と、この出だしのイメージで最後まで読みきれました。面白かったです。関ヶ原や、秀吉、光秀、家康の名前も出てくるので、イメージがつかみやすく、細かい歴史のトリビアもちりばめているので。それを拾うのも面白い。さすが、司馬さん2016/11/16
サチオ
17
四国を制した父を持ちながらも自らの立場に惑い、自分らしい生き様を追い求めた長曽我部盛親。関ヶ原の合戦が少しでも時代がずれていれば…と悔やむだけの男振りで、後世に名を残した武将とはまた違った魅力を感じた。苦難にあった時の武士の生き方、決断のそれぞれが間違いではないと思いたい。戦乱の世だからこそ、儚い夢でも縁にしなければ生きていけないのかもしれない。2016/05/30
出世八五郎
15
無念な人・・・戦国時代終結後の最後の浪人を描きたかったという作品ですかね。
とし
14
何回目かの再読。司馬さんの戦国物のなかでもかなり好きな作品。四国の覇者にして土佐の太守・長宗我部元親の四男で、「関ヶ原」の直前に家督を継ぐことになった長宗我部盛親の物語。関ヶ原の戦後、家康によって領国を召し上げられ、京で幽閉生活を余儀なくされてるときの盛親の、どん底まで落ち、そこから這い上がってゆく心理描写が、ホントに素晴らしいと思う。実に個性的な女性キャラがたくさん描かれているのも嬉しい。2014/05/14
ちばと~る
14
土佐二十二万石の御曹司 長曾我部盛親は京の都で気儘な時を過ごしていた。秀吉の死により活発化した家康の天下取り。おり悪く父 元親の病死により国許へ~関ヶ原へは心ならずも石田方へ。存分な働きもできぬまま~運がないお人でしたが夏の陣での藤堂勢との激闘はお見事!2011/11/17