内容説明
河童が住むといわれる川で、手首を切り落とされた遺体が発見される。さらに片腕を切り落とされた別の遺体が川に浮かび、連続殺人事件の様相を呈してくる。同じ頃、相馬野馬追祭に来ていた棚旗奈々一行は、一人河童の里、遠野まで足を伸ばしていた桑原崇と合流。事件の真相が明らかになると同時に、河童に隠された悲しい事実も解き明かされていく…。
著者等紹介
高田崇史[タカダタカフミ]
昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒。『QED 百人一首の呪』(講談社ノベルス)で、第9回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えみ
62
歴史の中で見る河童とはなんだと熱心に読み進めていくうちに、あらぬ方向へと事件は向かって行ってしまった。あまりに残忍な真相、あまりに悲壮的な幕切れ、あまりに破滅的だ。自我崩落の瞬間の切り抜き方が最高に巧い!河童の住んでいる川で殺人事件が発生。犯人は河童?尻子玉ではなく持って行かれたのは手首だったが…。事件の真相と同時に語られていくのは、河童伝説。河童の存在に鋭い考察を交えながら、もう一つの知られざる真実を解き明かしていく桑原崇。そんな彼につき合う棚旗姉妹のズレた好奇心が可笑しい、QEDシリーズ第13弾。2023/02/23
おひゃべりのナオ@【花飛】ヤオイは三月の異名にあらず
33
高田センセ、わりかし好きなんだが、このころになると歴史解釈とミステリーが完全に(!)分離している。どちらか一つで作品が成立してしまう。2016/04/15
るぴん
31
シリーズ第13弾。今回のテーマは河童。誰もが知ってるメジャーな妖怪なのに、その実情は何も知らなかった。胡瓜が好物ということも、尻子玉を抜くのも、頭の皿から甲羅、相撲まで、ちゃんとした理由があったとは驚き。河童もまた、朝廷によって虐げられた民であり、製鉄が関係してるとか、菅原道真も河童だったとか、興味深い話がたくさん読めて面白かった。このシリーズを読むと、歴史は勝者のものだというのが嫌と言うほどわかる。三度登場の神山禮子さん絡みの殺人事件の方は、動機がわかりやすかったけど、後味悪し…。2017/09/23
とも
28
★★★だんだんとマンネリ化してきた。どうやらこの作家、怨霊と鉄が好きなようであり、現存歴史書は騙りであることをベースに話を進めるのがひとつのパターン。この作品のテーマは河童。バカバカしいながらも、これまでの流れから、この河童が実在しながらもヒト(日本人)と認められなかった、今風に言えば負け組の人であることは想定できる。それに将門や神話世界の神々、関連寺社や家紋、特に織田木瓜の名付けなどを絡ませて、話しを膨らませる。これを見ると、脱線のスケールもだんだんと少なくなってきた、ネタ切れかなぁ。2018/01/20
Yuki
18
河童は誰もが知っている妖怪でありキャラクターだと思うのですが、広く知られている分実態は非常に複雑なんですね。このシリーズを読むといつもですが、見えているようで見えていないということを痛感します。あと、ラストの黒幕には、なんともいえない気持ち悪さや憤りを感じました。2016/04/26