内容説明
不可能状況下で連続殺害されていく現代の聖者“十二使徒”。オカルト情報誌記者・室田が遭遇した難事件に、この世の「奇蹟」の真偽を認定するために放たれたバチカンからの使者、“奇蹟審問官”ことアーサー・クレメンスの漆黒の瞳が挑む!これぞ奇蹟と対峙する至高の本格推理。島田荘司を継ぐ者、柄刀一はついに神とも対決する。
著者等紹介
柄刀一[ツカトウハジメ]
1998年、『3000年の密室』で有栖川有栖氏らのエールを受けてデビューする。以降、あくまでも「本格」を軸足として、ミステリーの領域に新たな地平を築きつづける期待の新鋭である
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
51
あらら?「カタリ派」いつ出るのと楽しみにしていたら、グノーシス主義に言及するだけで、登場はしませんでした。でも、バチカンの神父さんが探偵役で、奇蹟審問官なる役割のアーサーさんが大活躍で、しかも久々の本格推理だったので、読み応えがありました。やっぱりミステリーは密室とか殺人そのもののトリックとかを自分なりに頭を捻り推理し、探偵にその謎を解き明かされるまでのワクワク感が最高なんですよね。わぁ~っ、本格ミステリーが大好きです!2011/08/22
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
38
長身痩躯、漆黒の髪に黒い瞳、全身を覆う黒い僧衣のようなガウンを着たバチカンの奇跡審査官アーサー・クレメンス。南米の小さな町で起こった教会焼失に伴う奇跡の十二使徒の話を調べるためにやって来た。十二人から話を聞いているうち、使徒のひとりが人間わざとは思えない方法で殺され、2人目、3人目の被害者が……。不可能犯罪解決に挑むアーサー。福者・聖者の認定、神学的、哲学的な話、グノーシス主義など衒学風味も加わって楽しい。2016/09/20
二分五厘
30
奇跡的な偶然から事故を回避した幸運な生存者達が、運命の輪に囚われて次々と死んでいく…そんな映画もあったな。集う時間に起こった教会の火災を、全員が別の事情で遅刻して回避した現代の聖者"十二使徒"だが、その真偽を判定するためにバチカンから現地に派遣された審問官・アーサーの前で、十二使徒が次々と不可能状況で殺されていく。更にその死体は、偶然の?自然現象により消えていく。天に在るものの意思か、その啓示か。ありえない偶然と殺人者の意思、そして異常な動機。宗教観にはついていなかったけど、長さを感じないミステリでした。2020/06/27
つたもみじ
11
刺殺、空中射殺、撲殺、扼殺…見えざる手による不可能犯罪が、十二使途を次々と殺していく。その遺体はまるで神が回収していったかのように人々の元から消えていった。バチカンから「十二使途の奇跡が起きた地」へ派遣されていた奇蹟審問官アーサー・クレメンスが、この不可思議な事件を科学的、論理的な視点で読み解いていく。それに加え、神の奇跡、福者、聖者のバチカンによる認定、グノーシス思想等々、宗教的視点からも楽しめた一冊でした。2013/06/23
shizuka_電気うさぎ
7
神の手と、人間(=犯人)の不屈の根性のなせる業かな。神学論争部分も読みやすかった。2020/03/28