内容説明
東海地震で倒壊したマンションの地下駐車場に閉じ込められた六人の高校生と担任教師。暗闇の中、少年の一人が瓦礫で頭を打たれて死亡する。事故か、それとも殺人か？殺人なら、全く光のない状況で一撃で殺すことがなぜ可能だったのか？周到にくみ上げられた本格推理ならではの熱き感動が読者を打つ傑作。
著者等紹介
古処誠二［コドコロセイジ］
１９７０年生まれ。『ＵＮＫＮＯＷＮ』で第１４回メフィスト賞を受賞しデビュー。評論家諸氏の高い評価を受ける。本書は満を持しておくる第二作
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
52
★★★✩ひとことで言えば、おしい。内容もよく練れてるし、登場人物の個性も描写もしっかりしている。ただ、辻村美月の「冷たい校舎の～」の焼き直しの様な雰囲気が漂い、とはいえ決定的に違うのが、其れがホラーミステリーでありながらもファンタジー感が溢れているのに対して、当作が単にミステリーだということか。とはいえ、十分に楽しめる一冊。2015/09/17
かっぱ
40
【図書館】地震がもたらした密室。震災によってマンションの地下駐車場に閉じ込めらた教師を含む同級生たち７人。暗闇の中でひとり、そしてもうひとりが死体となって発見される。死が全員の目の前にある極限下にあって、殺人事件が起こり得るのかということは疑問だけど、設定はおもしろい。学校の体質もそうだが、震災の後、復興が始まると再び経済優先となり、次の災害に備えることを忘れてしまっていると書かれていたのは、作者の元自衛官としての思いを伝えたかったからに思える。名古屋の道路が広いのにはそういう理由が。2022/12/01
ばりぼー
39
全く光のない暗闇の中で、一撃で殺すことがなぜ可能だったのか？というワンアイデアものかと油断させておいて、緻密な構成で二転三転と畳みかけて読者を翻弄する秀作。細かなところをつつけば瑕疵もありますが、高校生の体操の大会をふらっと覗いたら、捻りまくった大技連発に感嘆の声がもれた…という感じです。ただ、少年たちによる強姦・恐喝・暴行といった悪質な犯行が冒頭から執拗に続き、対立する少年たちの憎悪のぶつかり合い、閉じ込められた密室状況の絶望感に息苦しさを覚えるほどで、カタルシスを求める方には残念ながら不向きです。2016/12/04
あっちゃん
30
東海地震で東海したマンションの地下に閉じ込められた先生と学生達、暗闇の中での死は殺人か事故か！昔の作品なので古い所もあるけど、ちゃんとしたミステリー！しかし、私的には登場人物も好感が持てないし、事件がおこる元になった要素も嫌な話なので、かなり後味が悪かった(笑)2015/05/29
coco夏ko10角
24
クローズドなミステリ小説を期待して読み始めたけどそれよりも社会派推理小説といった感じ。ミステリ面は今となっては珍しくないけど、この作品が15年前だと考えるとすごい。事実が明らかになっていくとスッキリではなくキリキリが増す…そんな読感。2015/05/12
