内容説明
男根の相で持ち主の運命を判断する「嗚呼益羅男」。衆道の法で男が孕む「くノ一紅騎兵」。官営遊廊と吉原の対決「忍法女郎屋戦争」。「摸牌試合」「忍法幻羅吊り」「お庭番地球を回る」など風太郎忍法の精髄ともいうべき、傑作短編八作収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
30
カドカワノベルスの忍法帖短編集。Kindleお試しで「くノ一紅旗兵」のさわりを読んで購入。なにせ直江兼続四天王が出て来る!「叛旗兵」は面白かった。多分収録したテーマのようなものがあって、本集はズバリ「性器」?全く酷い(笑)まぁ精液と愛液は山風超能力の源泉であることが多いもので珍しくもないが。あと本集では男色の割合も多い。「くノ一紅旗兵」でも男色が重要なモチーフになっている。昔の小説なので、男性読者に気を使って、男色が当時普通にあった等の言い訳めいた文章が付いているのが可笑しい。続く2018/01/15
星落秋風五丈原
24
徳川家康という人は、面食いだ。「羅妖の秀康」と本篇収録の「摸牌試合」に登場する実の息子・結城秀康を、顔がギギという魚に似ていると嫌う。松本清張氏の短篇にも、松平忠輝を顔で嫌うくだりが登場。自分が狸であるにも関わらず、いい気なものだと思うが、何しろ最高権力者。何でも許されてしまう。 元からぎくしゃくしていた親子関係は、家康が服部半蔵を介して甲賀の刺青銅八に秀康謀反の気配を探らせる事でもつれる。銅八は以前秀康に仕えていたので、探索役には申し分なかったのだが、ただ一つ、奇妙な癖があった。言葉をさかさまに喋る。2003/10/24
pk
3
圧倒的な筆力でバカをやるという素晴らしさ。子供の頃から山田風太郎が好きすぎて、忍者のイメージがアメリカ人なみに。2010/03/04
igaiga
2
面白かったです。短編集だけあって、本当にバカバカしい感じの忍法が沢山出てきて、作者の想像力の豊さが、思い知れました。また、他の短編で別の忍法で殺された武将が、この短編では違う忍法で殺されたりと、いったちがいもあり、大変面白かったです。2011/04/27
hirayama46
2
忍法帖の短編は、忍者の存在の哀愁やナンセンスさを前面に押し出していて、その表現としてギャグというかたちを取っているものが多いので、長編にはない独特の魅力があります。幕末のジャパニーズ・オニワーヴァンの活躍(?)を描いた「お庭番地球を回る」、なんともコメントしがたいオチの「摸牌試合」、タイトルからしてあれな「嗚呼益羅男」、哀愁漂う「忍法女郎屋戦争」 、一転して真面目な表題作あたりがお気に入りです。……収録作のほとんどを書いてますね。2010/02/05