出版社内容情報
【内容紹介】
カウフマンが驚くほど、神戸の街は戦争で荒んでいた。カミルらを拷問し、カウフマンは念願の極秘文書を手にするが、その時、ヒットラー死亡の知らせを受け愕然とする。3人のアドルフの運命を描く大河ロマン、ついに完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
22
アドルフ・カミル。もうひとりのアドルフ。神戸に亡命してきたユダヤ人。そのせいかネイティブな関西人より関西弁が達者。戦時中でたびたび「毛唐」扱いされているが、そんな程度のことではひるみません。さすが！ 2012/09/03
aki-M
6
月に1冊は普段読まないジャンルのものを読もうと思い、ニュースで頻繁に流れているイスラエル情勢から色々巡ってこの作品に辿り着きました。5冊一気読みでした。言いたいことはいっぱいあるけど戦争からは悲しみ、怒り、恐怖しか生まれない。風化してはいけない。2014/08/03
松田望
5
中学のとき初めて読んだ手塚氏の大人向け漫画がこの本。その後どっぷりと手塚氏にはまっていった。 緻密に作りこまれた設定、題材のユニークさ、漫画的演出の豊富さ……浦沢直樹氏『２０世紀少年』の冒頭のテンションで最終巻まで続くぐらいの面白さだ。 ハーフのドイツ人アドルフ・カウフマンとユダヤ人アドルフ・カミルの対比が絶妙。手塚氏の描いたこういう演出の中でもっとも成功した部類だと思う。 「すでにおそし！」と文語で叫ぶ主人公に受ける。手塚治虫氏のちょっと懐かし表現萌え〜♡2014/06/22
yutayonemoto
4
尋常じゃない完成度。背景知識を知っていればいるほどのめり込んでしまう。まるで映画のよう。アドルフのように生まれていれば、僕はあんなに突っ走れただろうか。アドルフのように生まれていれば、僕はあんなに自身を捧げることができただろうか。アドルフのように生まれていれば、僕はあんなに誇り高く生きられただろうか。近頃の漫画では、「登場人物の書き込みが甘く、感情移入しにくい」といった感想が目立つ。こういう漫画を読んでいれば、そういう感想が出てくるのも仕方ないと思えるほど、登場人物の描写が繊細だ。素晴らしい。2014/12/13
はばたくキツネ
4
パレスチナ紛争にまで持って行くとは予想外。数え切れないほどの人間を狂わせ翻弄し世界を混乱せしめたヒトラーという人物の異常性を直接ではなく婉曲的・多角的な面から描ききった名作。2011/03/18
