内容説明
「東洋のちっぽけな葉」が大英帝国を制覇した。一七世紀イギリスに上陸し、爆発的に広まった中国・日本発の奇妙な熱い飲み物。「毒か薬か」という大論争のさなか、著者レットサムは、茶の植物的特質、製法、紅茶・緑茶の種類、人体への影響などを、文献や実験・観察を通して丹念に調べぬく。一八世紀ヨーロッパ最高の茶論と評価された西欧茶研究の古典、全訳成る。
目次
第1部 茶樹の自然誌(茶の植物誌(綱と目)
茶の異名
茶の起源
土壌と栽培
茶摘み ほか)
第2部 茶の医学誌(茶の医学的研究;喫茶の人体への影響;茶とハーブ;茶と銅・砂糖・アヘン;症例(刺激物質;憂鬱症) ほか)
著者等紹介
レットサム,ジョン・コークレイ[レットサム,ジョンコークレイ][Lettsom,John Coakley]
1744‐1815。イギリスの医師、著述家。ロンドンで開業するかたわら、生涯にわたり茶に関心を持ち続けた
滝口明子[タキグチアキコ]
1957年生まれ。東京大学教養学科卒業後、同大学大学院博士課程中退。熊本大学文学部助教授を経て、現在、千葉大学・東京外国語大学・青山学院女子短期大学講師。専攻は英語英文学・比較文学・文化史
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感想・レビュー
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やす
2
18世紀当時のヨーロッパ人の茶に対する考え方が分かって非常に面白かった2018/09/26
金宗泰
1
中国茶の詳しい資料が乏しかった18世紀にこれだけの内容をまとめたレッドサム氏のお茶への興味と執念に感謝したい。研究設備や環境も未発達の頃、成分や効能の実験と研究までやってしまうあたり、やはりお医者さんなだけあるなと言うところ。17世紀に英国にもたらされ、18世紀には中国茶がに必需品になっていたが、半信半疑で摂取する人もまだまだたくさんいたことが伝わってくる。酒漬けだったイギリス人の生活を救ったお茶が、体に悪いものでは無いようにと切に願う気持ちが文章から感じられる作品。2023/04/02