内容説明
鎌倉時代、広い知識と行動力で、先進的知識人として活躍した栄西は、二度にわたり宋に入り、中国文化の摂取につとめた。そして、中国の禅院で行われていた飲茶の習慣を日本でも行うべく、当地で得た茶の実を建仁寺境内に植栽し、日本の茶の始祖になる。本書は、「養生の法」として喫茶を説いた茶書の古典。
目次
読み下し文(序;巻上;巻下)
注釈
現代語訳
原文
栄西と『喫茶養生記』(禅と茶―飲茶の風をたどって;栄西の生涯;その人間像;『喫茶養生記』をめぐって)
1 ~ 1件/全1件
- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
84
鎌倉時代の僧の栄西によるお茶の効能を論じたものです。漢文の原文は17ページのものですが、読み下し文(詳しい註釈があります)、現代語訳もありかなり理解が深まります。お茶がいかに体の内臓などにいいのかもよくわかります。お茶好きのわたしにとっては納得のいくものでした。さらに古田さんによる禅とお茶の関係や栄西の人物論などもあり非常に小冊子ながらいい本であると思いました。2023/09/16
陽麿(お陽さま麿やか)
16
節目の100冊目は栄西(ようさい)の喫茶養生記。学校では”えいさい”と習いましたが、”ようさい”です。中国から今の茶道の原型を伝えた平安末期の僧です。 ”きっさようじょうき”で変換したら、喫茶用蒸気と出たのでずっこけました。 日本の茶道はここから始まるのです。「もっとおいしいお茶を点てたい!」2014/04/23
Akihiro Nishio
13
栄西による喫茶の勧めである。書き下し文、現代語訳、漢文が掲載されており、自分はもちろん現代語訳のみを読んだ。また、栄西の生涯や本書が書かれるに当たっての背景、また異本等に関する解説も添えられている。栄西のオープンな人柄が伝わってくる。現代から見れば、茶の効用を過大評価し過ぎな点はあるが、茶にカフェインやビタミンの効用を既に言い当てているところもある。一方で、桑を万病に効く仙薬として異常に推しているのだが、その根拠は良くわからない。2016/01/25
壱萬参仟縁
3
読み下し文→現代語訳→原文→注釈→あとがき、という構成。評者は現代語訳を読み、気になった箇所を読み下し文や注釈で確認するという手法をとった。「一生の健康を保つ根源は(略)養生することにある」(45ページ)とは当たり前のことではあるが、なかなか不言実行は難しいと思える。実際、病気になって初めて反省するのが人間だろうからである。飲茶で病を治す発想は、現代医学の進歩のない当時、かけがえのない養生法だったのであろう。茶と禅の結びつきは入宋して知ったようだ(注釈107ページ)。現代の喫茶店も病を治せればいい。2012/07/17
Masa
2
「喫茶去」のこと分かるかと思って読んだけど、お茶を勧める書であった。 養生というのもある一部でしかないこと、桑の茶をやたら推すこと、お茶は禅の修行と密接に結びついていること、健康とお茶の可能性という点で大変面白かったので、今回のサラッと読みから次はじっくり読み込めるよう中医学の知識を深めていく。2021/08/05