出版社内容情報
【内容紹介】
中国の宗教の主流をなし、日本にも大きな影響を与えた道教。本書は、中国の人々の生活に密着している道教信仰の現状を述べると共に、道教の神々の世界を考究。道教の儀式の折に本尊としてその絵像が掛けられる元始・霊宝・道徳天尊の三神をはじめ、多くの神々及び古くから日本人に親しまれてきた鍾馗や閻魔などの由来を紹介し、気功や風水説にも論及した。わが国道教学の権威による先駆的道教入門。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
R
28
道教の成り立ちや、世界観、そこで語り継がれる神とその逸話を集めて紹介した本でした。文革の影響で中国本土では滅びつつあった道教について、整理と研究をした結果が記されています。成立途中で、様々な他宗教との融合も見られたり、孔子を初めとして儒教とも深く係わり合い、独特の世界観、道徳を育んだいきさつなどが興味深かったです。台湾の寺院も、全部一緒に見えるようで異なることがわかって、知識の補完に役立ちました。2017/10/16
まふ
24
中国の土俗宗教である道教の八百万の神々について解説したもの。初めて聞く神々ばかりであったが、日本の神道と同じように実在の英雄たちが神となった例がたくさんあり、いずこも同じというところ。どうやら、日常生活のありとあらゆる所に神はおわしまして、民衆の生活を守ってくれるようである。ただし、この一見しまらない宗教から気功、導引や服餌、風水、調息、などの東洋の知恵が生まれているのであるから、素晴らしいといわざるを得ない。その意味で、最も東洋的な宗教の一つといえるのであろう。2006/12/06
たみ
19
現状(※1996年発行)と内容&宗派、生活と神々、神々の素性。すっごく楽しかったんだけども読み終わった今の印象としては雲をつかむようで五里霧中。最高神が元始天尊だというのだけ頭に刷り込みました。とはいっても時代によって最高神が変わるらしく(元始天尊は6世紀頃から最高神になり10世紀には玉皇上帝が最高神…え?)さらに現在一部の地域では玉皇も引退して関帝が玉皇になったという話も出ているらしく(ふぁ??)この時点でちょっともうよくわかんない。台湾の例が多くとりあげられているけれど、なぜ台湾なのかは記述なく不明。2016/01/16
武井 康則
16
道教についてをすべて記録しておこうという著者の意欲や熱意が感じられる。たぶん、道教とは宗派はあるが、卓越した指導者がいなかったのか、太平道、五斗米道など、乱や言葉を門外漢の私でさえ知っているくらいだから、その指導者は教義とは違う魅力で人々を導いたのだろう。つまり体系化するのが得意ではないのかも。確かに西洋的な論理ではない。だから、記述はそれぞれのエピソードを具体的に語るほかない。そんなお話の集積となっている。道教についてはほかに語りようがないような気がする。2021/08/26
OKKO (o▽n)v 終活中
7
最後の最後にもう一度バーッと拾い読みして通読して…… ◆何度も強調するが、本書に道教のシステムやメカニズムの解説を期待してはいけない。あくまでも現在の、現在といっても一昔二昔前の、しかも大陸はデータ不足で台湾や東南アジアが結果的に主体となっているものであり、しかも統一性にやや欠ける、専門家の「見て歩き」であることを忘れてはならない。本書だけをまるっと鵜呑みにすると大火傷するぜぃ ◆とはいえ、逆に大陸以外の現状を知り道教todayを推し量るにはこれ以外に適書を知らぬ。誰か知ってたら教えてください。2015/11/09