出版社内容情報
宇治谷 孟[ウジタニ ツトム]
著・文・その他
内容説明
『続日本紀』は、『日本書紀』に次ぐ勅撰史書である。古代史研究に不可欠の重要史料でありながら記紀のように詳細な解説がなされなかった四十巻全篇に現代語訳を試みたのが本書である。上巻は、文武元年から天平十四年までの十四巻を収める。大宝律令制定・平城遷都という統一国家確立に至る表舞台を軸に、藤原氏の台頭・大仏建立などの史実が庶民の姿を交じえて語られる。古代史新発見に必読の書。
感想・レビュー
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レアル
33
『日本書紀』と違って淡々と、まるで報告を時系列で並べたような記述につまらなさも感じるが、『続日本紀』上巻は文武天皇から聖武天皇まで。文武天皇から聖武天皇(あるいは孝謙上皇)までは持統天皇が不比等とタックルを組んで遂行した「草壁系統の皇位継承」野望が持統天皇の崩御後も途絶えることなく続いていることが確認でき、ある意味その「野望物語」のようにも思える。そして持統天皇の野望通り文武天皇から聖武天皇に引き継がれた。でもこの野望が聖武天皇を悩ませあるいは呪いのように捉えられる文言を感じるのは、私だけの思い過ごしか。2023/10/30
耳クソ
14
「自分は天皇に向いてない」と漏らす文武天皇と、鬱で引きこもっているのを玄昉によって恢復する(玄昉とデキてたんじゃね?)藤原宮子の間に生まれた聖武天皇はやはり精神的に不安定で、その施政はツッコミ所満載である。朝廷は、異民族(蝦夷など)・逆賊(藤原広嗣など)・新興宗教(役小角など)への不寛容と、国司・群司への当たりの強さや批判(塩焼王など)を受け入れない超然的な態度と、罪人を赦免しまくるなどの偽善を隠さない態度で権威を保たせていてかなりウザい。個人的には長屋王の変の余波としての中臣東人殺害事件が印象的だった。2021/06/08
アル
3
上巻の人物では大野東人が印象に残った。 対蝦夷の最前線に居り、陸奥・出羽の連絡路開通では意見の相違する相手に理があると見れば受け入れるなど戦闘よりもより上級の指揮官として有能に見える。 藤原広嗣の乱で東人が討伐軍の持節大将軍に任命されるところでは、淡々とした描写にもかかわらず官軍の切り札が投入された感があった。 教科書では大仏建立に関わって有名な行基の教団が当初は違法集団と見なされており、徐々に認められながらも長らく警戒されていたのも興味深い。2017/07/12
眉毛ごもら
2
再読。天上の虹にハマり高校生のときに買いたかったが高かったので学校の図書室に入れてもらった思い出深い本である。自分の続日本紀をついにゲットだぜ。文武天皇即位から聖武天皇の恭仁宮脱出及び紫香楽宮へのトンズラこくまで。あの頃より知識が増えたのでこの記述はここにあったのかとか長屋王の変があっさりしてるとか大赦ってこんなにポンポン発動していいもんだっけ?とか思ったりした。この時代は藤原氏寡占状態じゃないので叙位される氏族の種類が多くて良い。記述はあっさりめなので読みやすいと思う。退屈と言われたら否定しないけども。2022/10/21
Gen Kato
0
再読。『日本書紀』を読み返した流れで。2014/05/18