講談社学術文庫<br> ヨーロッパ中世の宇宙観

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講談社学術文庫
ヨーロッパ中世の宇宙観

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  • サイズ 文庫判/ページ数 290p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784061589995
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0122

出版社内容情報

【内容紹介】
市民の違約に憤る不気味な〈鼠捕り男〉は、笛を吹いて町中の子供を誘い出し山の彼方へ攫(さら)って消える。〈ハーメルン伝説〉の不吉な謎を解読しつつ、著者の炯眼は中世民衆の思考世界を凝視する。さらに、僅かな史料を手掛りに歴史空間に今も谺(こだま)する民衆の叫びに耳をすませば、時代の変動を生きぬく人々の苦しい生存の呻きが伝わってくる。西洋中世民衆の生活と意識を活写して感銘深い阿部史学の原点と現在。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

galoisbaobab

12
理学じゃない研究者の本っていうのはまどろっこしいっていうのが全体的な感想なんですが、人や人の集まりのモデル化がとても難しいテーマであることは重々承知。ハーメルンの笛吹き男の歴史的考察から社会が変貌する中で排出される賎民の社会的動力学が階層的な世界観のハザマで駆動されることを示唆しているんだけど全体的なモデル構築まではまだまだ遠いってところでしょうか。でも、歴史認識が権威や権力が生成するモノでありそこからは本質が見えず庶民のつながりの力学を考えないとねっていう宮本常一的発想には同意します。2017/02/27

9
ハーメルンの笛吹き男伝説から始まる本書が一貫して取り組んでいるのは中世ヨーロッパ、具体的にいえばドイツにおける賤民思想の変遷だ。ハーメルン伝説からして笛吹き男は賤民だったという。写本によって表記のばらつきがあり、複数の学説と著者の考えを紹介している。そこから中世において賤民とされた人々はどんな職業についていたのか、その職業は賤視されるものだったのか。なぜ賤視されたのか。それを刑吏に焦点を当てて解説を試みている。内容に重複が見られるが、そのために幾度も説明があるのでしつこいが理解はしやすい、かもしれない2015/03/29

Theopotamos

6
中世ヨーロッパの社会史の領域を切り開いた阿部勤也及びその思想の入門書と言える本であると思います。 ハーメルンの笛吹男の話、放浪学生のような非定住民が多くいた話、ヨーロッパの差別の歴史的な背景、ユダヤ人・刑吏の差別社会史、中世の庶民の世界観など盛りだくさんでこの本だけで完結させようとせず、興味を持ったことを他の著作で詳しく入っていくという形がいいのではないでしょうか。 個人的には「民衆の日常生活・感覚からの出発」を重視した視点が柳田国男と一部が重なってるように見え、阿部勤也の思想にも興味があります。2017/12/24

rymuka

3
 小宇宙とは身体、家などの「我が城」で、目に見え、また制御可能な部分。大宇宙とは異邦人、森などで、「死」に近く、目に見えず、制御不能な部分(女性や貨幣も、昔は「大宇宙」に属した)。物事が2種類の宇宙の間を循環するとみた中世人に、叡智を感じる。読書録あり → http://rymuka.blog136.fc2.com/blog-entry-66.html2019/11/17

おらひらお

3
1991年初版。阿部勤也さんの本は気が付いたら読むようにしていますが、これは読みやすい一冊。だけど少し細切れ間も強いですね。2017/04/15

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