講談社学術文庫<br> 隠喩としての建築

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講談社学術文庫
隠喩としての建築

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784061588660
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0110

内容説明

思想をコンストラクション(建築)から検討しようとしてきた柄谷行人は、それが本質的には「ゲーデル的問題」に帰着することを見いだした。しかし、これは西洋の思想的文脈とは別の問題で、日本では、ディコンストラクティヴであることを自覚していた。したがって、先ず建築的・形式的でなければならないと考えていた。本書は建築を隠喩として用い、哲学を知の建築とみなすことから始める表題論文のほか、形式の諸問題等を収録した。

目次

隠喩としての建築
形式化の諸問題
鏡と写真装置
検閲と近代・日本・文学
核時代の不条理
小島信夫論
内輪の会
言語という謎
伝達ゲームとしての思想
建築への意志
病の記号論
『隠喩としての病い』にふれて
80年代危機の本質
アメリカの思想状況
中上健次への手紙
サイバネティックスと文学
凡庸なるもの
リズム・メロディ・コンセプト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

16
危機のたび厳密な思考の建築を打ち立てようとする西洋の知は、逆にいつも安定した建築がないことを露呈したのと同じく、隠喩を嫌い厳密な言語を求める者達こそが隠喩を深く考えたと見る著者。ここに潜む自己言及のパラドクスを近代国家にも認め、戦後日本はGHQの検閲の上に成立してるとの議論に対し、それが言うほど徹底もせずデタラメだった点に注目。「検閲官が明らかに無知かつ愚鈍で全く恣意的にやっているにもかかわらず、そして蚊の食った程の効果も生み出していない程の些細さにもかかわらず、だからこそそこに検閲者の意図が読まれ得る」2018/03/16

くらひで

10
この世は矛盾に満ちている。何一つ完全なるものはない。例えば、論理で展開した数学が、ゲーデルの不完全性定理によって、その根底から崩壊する。マルクスの資本論も資本主義経済の矛盾を発く。「地」と「図」の反転のように、人間の認識、主体と客体とは簡単に入れ替わる。人間はある現象に意味付けを行うことによって、それが隠喩となって人間の意識を支配する。論理を積み上げることによって知を建築してきたと思い込んでいた現代が脆くも崩れ落ちる。ここにポストモダニズムがあるといえる。本書の言う「建築」は、一般的な意味でのそれではない2015/04/22

なっぢ@断捨離実行中

8
表題作はトランスクリティークが出るまで海外では柄谷の代表作とされていたらしい。なんでも建築関係者の基本文献にまでなっていたとか。しかし中身は建築とは直接的には関係のない隠喩としての建築を、建築という言葉の現代的な意味を問う哲学的な議論になっている。現代思想の諸問題を門外漢が手っ取り早く学ぶ教科書として受容されていたのだろうか。2017/07/09

引用

5
なんらかの時代を強烈に感じるテキストだった、こういうのがどう更新されているのか、それとも放って置かれているのか、自分の中の思想史的に位置づけてやらないと永遠に突発的な誤用と参照で終わるという気がする。しかしこれが建築学科の必読書だったというのは当時の学生があまりにもナーバスすぎると思う2019/12/30

もふたま

5
構造はどんなに複雑であってもツリー化をもとにしているとありますが、超えることはできないのでしょうか。振り子のごとく考えた先にあるのではとつい期待してしまいます。2018/03/04

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