内容説明
数学は勝れて抽象的な学問である。しかし、だからといって数学が社会や世俗の人間活動から孤立して発展してきたわけではない。また数学者が、その人間的関心の全てを二六時中数学に集中し続けているわけでもない。それが証拠に、確率論は賭博と縁が深い。という次第で、著者は、〈数学〉を主人公にしながらも〈社会〉を断念しない数学史の記述という難題に挑んだ。あふれる機知と興味深い逸話の数々。比類のない人間臭い数学史の成立。
目次
なんのために、数学の歴史はあるのか
なにゆえに、数学はギリシアに始まった、といわれるのか
いかにして、古代世界は数学を失ったか
なにゆえに、中世の数学史を語ることは、困難なのか
いかにして、新しい時代の新しい数学は始められたか
なにゆえに、啓蒙時代は科学時代ではなかったのか
なにを、資本主義は数学にもたらしたか
いかにして、現代数学の基本概念は用意されていたか
なにゆえに、集合論が「革命的」であったのか
なにゆえに、数学は「抽象化」したか
いかに、数学は現代につきささっているか〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もちまる
21
ふーんって感じかな。歴代の数学者たちの年表を注釈ありで読んでいるみたいなのかな。有名な人たちの年代がわかったことが収穫かな?2019/09/10
nbhd
20
文系の皆様に残念なお知らせが…。微分積分の発明ってニュートンが生きた18世紀ころの話らしく、つまり僕らの「数学の脳みそ」ってだいたい300年間分くらい停滞しているんですね☆…だから19世紀以降の記述は理解できないのだけど、数式もなくて世界史に寄った本なのでとっても読みやすい。とりわけ、各所に挿まれる3~4行の”ヘンテコ数学者伝”は大いにそそられた。たとえばケプラー≪結婚に際して、意中の女性たちの量的評価の理論化を試み、最高点の女性に求婚したが、実際のケプラー夫人は最低点の女性であったという≫なんじゃそら!2016/02/06
yoshimixx
4
本当に歴史だけは、時系列で分かりやすく書かれていますが。。。 欲を言えば、公式とか図表とか、数学の解説があってほしかったなぁ。。。2018/07/20
カイ
3
登場人物がかなり多く挫折しかけたので終盤ザッと流し読みした。もう一度興味が湧き直したら読み直したい。2019/03/15
Fumoh
2
数学の歴史と書いてあるが、いったい世界史がどのような形で数学を取り扱ってきたか、という内容であって、数学そのものの歴史を語る本ではない。そして歴史の描写は「通史」といえるようなもので、一つ一つの歴史の説明がかなりざっくりとしている。また著者独特の、抽象的な言い回し(数学が現代につきささっている、など)がかなり多く、平易な言葉ではあるが、根幹といえる具体的な知識を、著者なりにかなり圧縮して話しているので、講義というより居酒屋談義に近いものがある。熱心な読者はがっかりさせられるだろう。2023/10/19