内容説明
本書は、1冊で完結する西洋哲学通史として、重要な哲学者の、それも必要不可欠と思われる考えに絞り、古代・中世・近世・近代・現代の区分に従って問題の展開が論理的に理解できるよう書かれています。
目次
第1章 古代前期(古代ギリシアこそ西洋哲学の源泉;ソークラテース以前の哲学;偉大なことは狂気によってのみ生ずる―プラトーンの書物のなかから)
第2章 古代後期(実体といわれるものは何か―アリストテレースの特色;実践哲学とその学派―ヘレニズム前期;宗教哲学と4人の学者―ヘレニズム後期)
第3章 中世(中世は暗黒であったか;教父の時代;ニッサのグレゴーリオス―ギリシア教父;アウグスティーヌス―ラテン教父;大学の問題―中世の偉大な制度とアラベール;トマス・アクィナス)
第4章 近世(ヒューマニズムの時代;フィレンツェのプラトーン・アカデーミア;17世紀の哲学―デカルト、ホッブス、パスカル、スピノーザ;17世紀の哲学―ライプニッツ、ロック、バークリー、ヒューム)
第5章 近代(大陸合理論と英国経験論の統合―ルソーとコンディヤックの思考実験;カントの3批判書―『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』;ドイツ観念論―フィヒテ、シェリング、ヘーゲル;人間への志向回帰―シェリング、キェルケゴール、フォイエルバッハ、ヴィーコ、ニイチェ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
13
ヘーゲルの哲学史を辛くも読み終えたあと、日本人が書いたものに挑戦したいと思った。何を読もう。ランキング形式のブログを参考にする。絶版。古書店に在庫があったので取り寄せ。蛍光ペンでマーキングしてある本は図書館でもせいぜい鉛筆だったので、初めての経験。ページの裏からうっすら黄色い影が仄見えて、なんか落ち着かない。前半は鉛筆、後半から蛍光ペンという、そんなの売りに行くなよと思うけれど、そのおかげで書見できたので感謝しかない。でねえ。やっぱり気になる。どこに線を引いたのか。読書とは個人的なものだけれど、なんでそこ2024/04/28
どらがあんこ
10
教科書というより概念がいかに連結してゆくかを見ると楽しく読める本。閉じられていないのがよいですね。個人的に好きなのは近世の記述。2019/03/06
まさにい
9
とりあえずこの本で哲学史については終わりにすることにした。12月から何冊か読んで得るものは多かったと思うのだが、やはり西洋哲学はキリスト教の影響が大きかったと思う。良きにつけ悪しきにつけ。他方、東洋哲学は、インドのゼロの概念、つまり『無』というか『空』というかを中心に展開していたと思う。それが、自己の外に哲学を求めるか、自己の内に哲学を求めるか、つまり真理を探すか、空により悟るかの違いが生じたのではとおもう。2024/01/03
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9
そこそこ読みやすく内容も濃いので、西洋哲学の入り口にふさわしい本。ソクラテス・プラトン・アリストテレスにかなりの紙幅を割き、彼らの思想とキリスト教の「神」存在論の2つを足がかりに古代〜近世を解説してくれるため、思想間の関係性が良く分かり理解が深まった。反面、近代とくにカント以降は凄まじい駆け足なので他の本での補強が必要。/ジョルダーノ・ブルーノ、スピノザなど汎神論的世界観が興味深かった。特に前者は名前しか知らなかったので大きな収穫。2021/09/19
うえ
6
後代の言葉とは知らなかった「14世紀後半からイタリアにおいて、たんに古典文化の復興というばかりではなくて、それに基づいた新しい思想…それを私はヒューマニズムと呼ぼうと思います。しかしヒューマニズムのもとの言葉、フマニスムスというラテン語…はその時代につくられたのではなくて、1808年、19世紀の初めにフリードリッヒ・ニータンマーという人がフィラントロピスムス、すなわち人類愛や人道主義に対立して、イタリア・ルネサンスの学者たちに基づいた古典研究を強調するために、フマニスムスという言葉をつくったのであります」2024/01/03