出版社内容情報
【内容紹介】
南方熊楠は、柳田国男とともに、日本の民俗学の草創者である。この二人は、その学問の方法においても、その思想的出自と経歴においても、いたく対照的なのである。日本の学問のこれからの創造可能性を考えるために、この二つの巨峰を、わたしたちはおのれの力倆において、登り比べてみることは役に立つであろう。そうした意味で、微力ながら、これはわたしの南方登攀記の発端である。(著者まえがきより)〈昭和54年度毎日出版文化賞受賞作〉
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
55
2011.01.04 (鶴見和子) 1918、東京生まれ。プリンストン大学、Ph.D.。上智大学名誉教授。(索引) 飯倉照平、石田幹之助、今西錦司、『妹の力』、色川大吉、岩田準一、岩村忍、マックス・ウェーバー、上松蓊、岡倉天心、岡本文枝、小畔四郎、笠井清、喜多幅武三郎、桑原武夫、K.ゲスネル、子安貝、佐藤春夫の南方についての著作、ディキンス、柴四朗、渋沢敬三、『邪視』、『十二支考』、白井光太郎、孫文(孫逸仙)、ダーウィン、2011/01/04
Vakira
45
H・D・ソローさんの「森の生活(上)」を読んでその大自然に対する向合い方、哲学的な人間生活洞察が地頭的で魅かれた。そういえば日本では南方熊楠さんがいる。っで読んでみたくなって下巻に行く前に手に取る。河出文庫から5冊の南方熊楠文庫が出ている。立ち読みすると明治時代の文語体が読みにくい。大学同期の夏目漱石は読みやすいのに何でまた?コリャ先に進まんぞ。たまたま入った古本屋でこの本を見つける。この本は普通に読める。南方熊楠さんを知る旅はこの本から・・・なんと素敵な人物像。イメージは水木しげるの猫楠だ。2019/11/20
i-miya
41
2011.11.07 (鶴見和子) 1918、東京生まれ。プリンストン大学Ph.D。上智大学名誉教授。(索引) 飯倉照平。(解説=谷川健一=『南方曼荼羅と鶴見曼荼羅』) 巨人が縛られたような状態の苦しみにあった、と柳田国男が南方熊楠のことを評していることを、この本の冒頭で紹介する鶴見和子。田辺の庶民層と日々親交を重ねるその中に、自由と安息を得る。2011/11/06
i-miya
38
2011.12.08 (つづき) 鶴見和子著 1888(22)、アナバーへ向かう。1889(23)、アナバー生活、図書館読書、野外動植物採集、送金届かなくなる。1891(25)、フロリダ、ジャクソンビルからキューバ、ハイチ、ベネズエラ、ジャマイカ島へ採集。1892(26)、ジャクソンビルへ帰り、ロンドンへ、父の訃報知る。1893(27)、大英博物館で整理、リード、フランシス知る、ネイチャー投稿、土宜法竜であう。1895(29)、ダグラス。2011/12/08
Tonex
26
南方熊楠の評伝。この本の何が驚きかというと、著者は別に南方熊楠の専門家でもなかったのに、平凡社の『南方熊楠全集』第四巻の解説を書くよう依頼をうけ、それまでに出ていた熊楠の作品をそのとき初めて通読し、その6年後には講談社の『日本民俗文化大系』の南方熊楠の巻を担当するまでになっていたということである。それを文庫化したものが本書だが、ともすればあれこれ手を出して何をやっているのかわからない南方熊楠の全体像をわかりやすく示してくれるレベルの高い入門書に仕上がっている。2016/01/31